あなたは、選考する際どちらを重視していますか?
1. 人材の魅力やポテンシャルを最大限に引き出し、採用の可能性を広げる。
2.リスクの可能性を探り、離職リスクや即戦力以外の人材を不採用にする。
多くの企業は、2のかなり慎重に人材を見極める採用をされていると感じます。特に、解雇が難しいという背景もあると思いますが、応募が非常に多かった時代のスタンスを持ち続けてしまっているということもあると思います。
私は、2005年頃から求人広告の営業をしていましたが、新卒も中途の応募も今では考えられないような人数の応募がありました。
新卒採用では、徳島県内で知名度がある企業であれば1000名を超すエントリーがあり、企業規模が10数名の企業でも、200~300名のエントリーを集めていました。中途採用でも同様に、1名枠に100名以上の応募が集まることもありました。
そのため、より良い人材を見極める、リスクを感じる人材はふるい落とす必要が企業にもあり、より慎重に人材を見極めるための適性検査や知能テストなどを使用しながら、採用活動を行うことが一般的になっていました。
選りすぐった人材に内定を出す。内定を出した人材は必ず入社してくれる。
2000年~2017年頃までは、大手だけでなく中小企業も、求人広告に掲載すると採用成功は実現していました。
しかし、今はどうでしょう。
中小企業では、応募を集めること自体が難しい状況になってきました。
これからの時代、自社に応募してくれた可能性のある人材を見落とさないために、「見極める採用」から「見落とさない採用」へ意識を変革する必要があると感じます。
求める人材像を見直した書類選考
採用ターゲットを細かく設定しすぎて、対象者がいなくなるという経験はないでしょうか。
規模の大きな企業の場合、転職回数、性別、年齢、学歴、適性検査や知能検査の結果など、基準値に達しない場合は採用しないという厳正な選考をおこなっていることも多いと思います。
中小企業などでは厳正に設定してなくとも、「40代の働き盛りで転職しようとする人材はだめだ」「こんないい会社から転職するのは、何かよくない理由がある」など、事情を聞く前からネガティブな想像をし、「こういうタイプはダメだ」と決めつけてしまい、可能性のある人材を見落としてしまうことがあります。
簡単にできる条件緩和を紹介します。
☑年齢の幅を広げる
☑性別を不問とする
☑転職回数だけで判断しない。
勤続年数が多い会社があれば可とする。
離職率の高い会社からの早期離職はマイナス判断をしない。
☑適性検査の結果だけでは判断せず面接で判断する
☑学歴は参考材料とし、職務上の経験を重視する。
書類選考の段階では、可能性のある人材を落とさないという視点をお持ちいただければと思います。
面接で気を付けたい落とし穴
人材に対して、自分が最初に感じていた印象が面接などで覆った経験はありますか?
面接を通して、「あまり期待はしていなかったけど、思ったより良い人材だった!」と思った経験が多い方は、可能性のある人材の取りこぼしが少ないと思います。
逆に、「思った通り良い人材だった」だとか「思った通り、うちには合わない人材だった」と毎回思う面接担当の方は、確証バイアスに陥り、人材を取りこぼしている可能性があります。
自分が最初感じたこと印象を裏付ける情報を集めて、「やっぱり最初に思ったとおりだった」と自分の正しさを確認しようとする「確証バイアス」という心理があります。人間だれしもが持っている考えの偏りです。
面接の場においては、最初に良い印象だと感じた人の場合、その印象が正しかったものとしたいという心理が働き、少し違和感があっても、その違和感は掘り下げず、良い印象につながる質問をしてしまいます。
逆に、あまりよくない印象を持っていた人材には、ほとんど質問をしなかったり、答えにくい質問をしたりと、「やっぱりだめだった」と思う証拠を集めてしまいます。
そこで、ネガティブな印象をもってしまっている方に対しても、必ず30分以上は面接で理解を深めることを大切にしてみるとよいでしょう。
そのためには、事前に履歴書・職務経歴書をしっかりと読み込み、疑問に思う点があればまずは、赤字などで自分の疑問を書き込みます。そのうえで、面接時に行う質問に変換し、事前に準備をしてください。
その時、大切なことはネガティブで否定的な表現ではなく、肯定的な質問の仕方です。
自分を否定していると感じるような質問をされると、回答しあぐねてしまいますし、言葉が詰まってしまいます。
そして、質問の順番も大切にしてください。答えやすいと思う質問からスタートし、答えにくいだろう質問は、ある程度面接を通して、相互の人柄がわかりあったタイミングが良いでしょう。
条件を緩和することで採用できる人材
弊社の2022年6月以降の徳島×正社員としての実績では、採用が難しいとされる建築やITエンジニアの採用実績が増えています。
その背景の一つとして、今までは、なかなか採用をしてもらいにくかった50代以上の人材を採用する企業が増えたということもあります。
また、若手人材では即戦力を求める採用から、ポテンシャルを重視する採用を行い、前職経験を問わない条件を打ち出す企業も増えています。
選考においては、「見極める」という意識が高くなり、少しでも印象が悪いと、ネガティブな目で見てしまうことがあると思います。しかし、今の人手不足の時代の中では、「見極める」から「見落とさない」採用選考が求められるようになってきています。
「応募はあるが、採用はできない」という企業は「見極め」ではなく「見落とさない」採用を目指してみてはいかがでしょか。