先日、株式会社マイナビより「中途採用実態調査」(2023年)が発表されました。
各業界別の調査データとなっているため、業界ごとの特性や課題、また採用成功のために他業界の傾向を知ることもとても有効的だと感じたので、ご紹介させていただきます。
まずは、興味深い「中途採用の課題」から確認してきましょう。
◎中途採用の課題(IT・通信・インターネットの企業)
1位 求職者の質が低い(34.0%)
2位 母集団(応募者数)が確保できない(30.4%)
3位 応募者管理が煩雑(29.3%)
4位 入社後早期退職する社員が増加している (27.2%)
IT・通信・インターネットの企業の上位4位となり、1位が求職者の質が低く、2位が母集団(応募者数)が確保できないということです。求人倍率が高くなればなるほど、優秀な人材の確保が難しく、また母集団(応募者数)が確保できなくなってしまいます。
また、入社後早期退職する社員が増加しているという項目も注目です。弊社でも、IT企業へ人材を紹介させていただきましたが、慎重な選考をいただいた結果、不採用になりました。理由を聞くと、最近、離職や入社した人材レベルの課題によって、社内が混乱したこともあり、選考が厳しくなったとのことです。
IT業界に関わらず、その他全業界でも「求職者の質が低い」が中途採用の課題の1位となっていました。人手不足になる中で、求職者の質の担保はどの業界においても共通して課題となっているようです。
それでは、その課題を解決させるために、どのような対策を行っているのでしょうか。
「中途採用を成功させるためにしていること」を見ていきましょう。
◎中途採用を成功させるためにしていること(IT・通信・インターネットの企業)
1位 採用ターゲットの明確化(28.8%)
2位 採用手法のWEB化(23.6%)
3位 選考基準の見直し (22.5%)
3位 職務内容の明確化(22.5%)
中途採用の課題が、「求職者の質が低い」となる中、中途採用を成功させるために、採用ターゲットの明確化(1位)、選考基準の見直し(3位)、職内容の明確化(3位)が上位になるのもうなずけます。
求人倍率が低く、企業の買い手市場の際は、人格面、能力の範囲、志望度の高さなど、どこから見ても納得ができるような人材を、どのような業務でも適用できるような人材を採用する傾向にあったと思います。しかし、現状の売り手市場の中で母集団が形成しにくい中では、マスト要件の数を減らすことが大切だと思います。
また、職務内容の明確化(3位)も重要だと思います。人材要件を明確にするためには、仕事内容を明確にしたうえで行われるべきです。特に、中小企業になればなるほど、「あれも、これもやってほしい」と仕事の幅広さを求める傾向にありますが、それをどのレベルでも一定高く対応してほしいとなると、求める人材レベルも高くなり、採用の難易度が高まってしまいます。
中小企業は幅広い業務を対応してほしいと考えがちですが、業務を細分化し、求める人物像のレベルを少し下げるか、全体の業務を対応をしてもらう中でも、その求める仕事のレベルを下げるなどの採用基準の見直しなどが求められていると感じます。
その他、中途採用を成功させるためにしていることとして、「人事制度の見直し」(1位)となった業界が、「メーカー」「環境・エネルギー」「不動産・建設・設備・住宅関連」「運輸・交通・物流・倉庫」となります。
「メーカー」「環境・エネルギー」はもともと働きやすい職場だと思いますが、より残業時間を短縮したり、女性も働きやすい環境にしたり、男性の育休推奨など、よりホワイト度を増しているように思います。
「不動産・建設・設備・住宅関連」「運輸・交通・物流・倉庫」は長時間労働であったり、休日日数が他業界と比較しても少ない傾向にある業界になりますが、特にこれらの業界の大手企業は休日日数を増やしたり、残業を短くするなどの対応が進んできているようです。
一方で、地方や徳島のこれらの業界の中小企業での労働環境の変化は大きく見られていないと感じます。そのため、これらの業界で採用難・人手不足のお困りということであれば、人事制度の見直し、特に休日日数の増加、残業時間の短縮を推奨したいと思います。人手不足の中、休日日数を増やすことや残業時間の短縮をすることは、一時的には大変なことかもしれませんが、母集団形成(応募者の確保)や離職率の低減につながると思いますので、中長期的な戦略で人手を確保したいという企業にはおすすめしたいと思います。他社が実施した後では、効果が薄れてしまいますので、お早目の着手を推奨します。
そして、医療・福祉・介護関連の企業では、「研修・教育との連携」が1位となり、他社ではない傾向になっています。IT・エンジニアなども人手不足の業界ですが、人気も高い業界でもあります。しかし、医療・福祉・介護関連の企業は、そもそもの成り手の不足が大きな問題になっています。そのため、希望する方に対して、研修や教育で人材のレベルを高めていこうという戦略なのだと思います。コストや労力はかかりますが、良い人材を採用するために掛けるコストを考えると、採用できる人材を育成していくという考え方は長期的にはとても有効だと感じます。
続いて、「面接前辞退に効果的だったこと」を見ていきましょう。
◎「面接前辞退に効果的だったこと」(メーカー)
1位 応募後の返信を早くした(13.1%)
2位 選考期間を短くした(12.2%)
2位 面接日程は応募者の希望を優先した(12.2%)
4位 メール・電話等での対応を丁寧に行った(11.0%)
特に、人材紹介から見ても有効だと感じるのが、メーカーの1位の「応募後の返信を早くした」、2位の「選考期間を短くした」となります。鉄は早いうちに打て、という諺があるように、応募時点が求職者の熱が最も高いタイミングになります。書類が届いたらすぐに書類選考を実施していただき、次回の選考案内ができる企業の方が人材確保の成功率が高いと感じます。
複数応募があり、選考結果を出すために時間がかかってしまうという場合は、「いつまでに選考結果を通知する」という連絡を先にするだけでも人材の印象は大きく変わります。また、保留という状態が長く続く場合もあると思いますが、その場合は、まずは面接だけでも先に進めると良いと思います。保留ということは何らかしらで迷いがあるのだと思いますが、その迷いの理由を明確にするために、面接に進めることを推奨します。
最近では複数社同時に選考を受ける方も多く、優秀な人材ほど企業も競争になってきますので、早い段階に選考を進めることも大切です。
その他、興味深い項目をピックアップします。
・面接前に選考内容を共有した
(金融・保険・コンサルティング/1位)(IT・通信・インターネット/4位)(流通・小売り・フードサービス4位)
・面接時に提出する書類等を少なくした
(サービス・レジャー/3位)(医療・福祉・介護2位)
面接時に、急な質問だったためとっさにうまく答えられず、そのせいで面接が不合格になってしまった、というケースは良くあります。しかし、質問の内容によっては回答には熟慮する必要があると感じる質問あります。面接などでうまく回答ができる反射神経の良い方もいますが、その反射神経の良さが職務の能力にはつながらないケースもあります。誠実な方ほど真剣に考えすぎで、とっさの回答に窮してしまうこともあります。
そのため、ある程度事前に選考内容を共有することで、人材も力を十分に発揮できますし、人材の志望度も高まると思います。特に注目したいことが、考える力やコミュニケーション能力を見るような業界でも、金融・保険・コンサルティングの1位の対策になっていることです。より選考を正確にするためにも、事前に選考内容を共有することは大切なことかもしれません。
その他、「面接時に提出する書類等を少なくした」、と回答する業界もあります。人柄を重視したり、過去の経験などを大きくは問わないケースは、書類選考の負担を減らすことで、選考へ進む母集団確保(応募者確保)に繋がります。応募者確保に苦戦されている企業は参考にしてください。
最後に、「面接後辞退に効果的」だったことをご紹介します。
◎面接後辞退に効果的だったこと(メーカー企業)
1位 仕事内容の説明を丁寧にした (14.5%)
2位 選考期間を短くした(12.2%)
3位 社内見学を実施した(10.1%)
4位 WEB面接を導入した(9.8%)
◎面接後辞退に効果的だったこと(IT・通信・インターネットなどの企業)
1位 選考期間を短くした (13.3%)
2位 面接時に仕事内容の説明を丁寧にした(13.3%)
3位 面接後の返答を早くした(12.2%)
4位 対面面接を導入した(11.1%)
メーカー、IT関連企業を含む全業界1位、2位は、選考期間を短くした、仕事内容の説明を丁寧にしたとあります。面接前でもスピードは重要でしたが、面接後についてもスピードが採用の成否を分けるようです。
また、「仕事内容の説明を丁寧にした」「社内見学の実施」も特に注目したい項目です。企業サイドもミスマッチの防止をしたいと考えていますが、人材も同様に入社後のミスマッチを防ぎたいと考えています。企業は、人材の履歴書・職務経歴書の書類や面接を通して、マッチしているかどうかの判断をしやすいのですが、人材はどうでしょうか。人材側に仕事内容の説明、入社後配属される部署の説明などがおろそかになってしまうと、人材がその企業とマッチしているかどうか判断するための情報に不足が発生してしまいます。そのため、仕事内容や配属の十分で丁寧な説明や、メーカー企業の3位にあるような社内見学の実施などはとても有効だと感じます。
また、対面を重視しているメーカーは、WEB面接を導入し、もともとWEB面接を導入しているIT関連企業は対面面接の導入を行っていることも、面白いと感じました。
WEBはスピード感を出すために重要なツールです。対面はより理解を深め、魅力付けやミスマッチを防ぐために重要です。WEBと対面の両面の良さを導入することが大切であることが理解できます。
人材紹介サービス「いつか徳島」を有効に活用して、採用成功率を高める
採用競争が激しくなり、早く内定を出しても「他社選考中のため少し待ってほしい」と人材から言われるケースが増え、以前より内定承諾を頂くことが難しくなっていると感じる企業も多いのではないでしょうか。
私たち「いつか徳島」では人材のニーズを押さえながら、他社選考状況や希望の条件に合致していない点、不安にお感じになっていることなどをお聞きし、企業と人材の条件や希望すり合わせなどをするようにし、内定承諾率を高めるようにしています。また、人材の率直な不安点などを聞きだし、企業へご回答を頂く中で、不安の解消などを行います。
第三者である人材紹介だからこそ、求職者の率直な意見を聞き、企業にフィードバックができることも、人材紹介を活用する大きな利点になります。
もちろん、自社採用を行う際も、人材のニーズをうまく聞き出し、不安の解消などを行うことで、採用成功率を高めることができますので、自社に最も合う採用成功確率を高める方法としてご活用ください。
調査元:株式会社マイナビ
引用元調査:中途採用実態調査(2023年)
実施期間 本調査:2023年7月12日(水)~7月18日(火)