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求職者にとって「最も志望度が低い」企業が、逆転採用できた理由とは?

こちらの連載では、弊社の事例紹介を通して、採用成功のポイントなどをお伝えしたいと思います。
自社での選考・採用にもお役立て頂ければと思います。

今回のポイント!
 スピード感のある選考スケジュール
 求職者の費用的、時間的な負担を減らす
 人材を獲得するための熱意と行動

「関西で社内SEとして働いてきました。以前暮らしたことがある四国の生活環境が好きで移住したいと思っています。」
そう相談してくれたのは、30代後半の男性でした。

面談で話を聞くと、エンジニアとしての技術力があり、社内SEとしての調整力もあるバランスの良い人材でした。30代後半という年齢も、現場と管理の両方をできるプレイングマネージャーとして期待できます。とても良い人材で、徳島に来て欲しいと私自身も感じました。

出身は徳島ではなく、血縁者がいるわけでもありません。以前、仕事の都合で四国エリアに2~3年暮らしたことがあり、その快適な暮らしが忘れられなかったそうです。今回、転職を考えた際にも真っ先に徳島が思いついたそうです。

ただ、徳島だと経験を活かせる転職先がたくさんあるわけではないことは理解していました。給与などの条件面の不安もあったので、近畿エリア全般で転職活動を行っていました。大阪、神戸を中心に求人を探し、すでにいくつか良い回答を頂いていた企業もありました。

当社からもご希望に沿った企業を数社ご案内したところ、ご興味をお持ち頂けた企業もありました。
選考に進むことにはなりましたが、以下のような障害が予想されていました。

 面接をどこで行うか?
候補者は関西に住んでいましたが、募集企業は本社東京、勤務地は徳島SO(サテライトオフィス)でした。そのため、東京、徳島のいずれかで行うにしても移動距離もあり、金銭的負担、時間的な負担が発生する状況でした。

 日程を調整できるか?
他社の内定も迫る中で、限られた期間内で面接日程を調整する必要がありました。
社長をはじめとする面接官の日程に加えて、関係者との協議の時間を確保できるのか。
また、候補者も働いているので、うまくその日程に合わせてもらえるのか、ということも課題でした。

 他社に負けない条件(賃金)を提示できるか?
内定を出せたとして、関西勤務となる他社と対抗できるだけの条件を提示できるのだろうか?

この3つの課題をうまくクリアする中、求職者に対しての魅力付けまで行うことが出来ました。

課題となっていた面接地ですが、スピードを優先するためにWebで行うことになりました。候補者が元々利用していたSkypeを使用しました。費用的にも時間的にも負担の少ないことが、求職者にとっても好感触となりました。

Web面接実施後は、当日のうちに当社にも合格の結果を共有してもらい、一気に社長面接、内定出しまでのスケジュール調整に入りました。もちろん、途中で不合格になる可能性もありますが、落とすことはいつでもできますので、採用することを前提にしてスケジュールを組んでいただきました。

最終面接は、候補者に東京へ移動してもらうことになりました。また、徳島サテライトオフィスにも見学に行って頂くことになりました。相互理解を深めるためには直接会うことや、実際に見ることが大切だという方針で、時間は限られていましたが実施することになりました。もちろん、移動費用は全て会社負担です。

最終選考が終わった翌日には、内定通知書を頂戴しました。条件についてもご本人の希望を予め把握し、選考と並行して社内調整を行っていました。そのため、ご本人も納得のいく条件提示をスピーディーに行うことが出来ました。すぐに候補者からも内定承諾のお返事を頂き、無事入社が決まりました。

もしかすると、金額的には他社の提示はそれより高かったかもしれませんが、他社を辞退し、内定承諾することを即答してくれたのは、それだけ会社と社員に魅力を感じていたのだと思います。

その承諾の電話の際にこんなセリフを聞きました。
「本当は一番志望度が低かったんです。まさか入社することになるとは思っていませんでした。良い会社と引き合わせて下さってありがとうございます」

書類をお渡ししてから、内定承諾までの期間は19日間でした。
スムーズな選考、それを実現する人材獲得への熱意を目の当たりにし、本当に人材を大切に考えている会社だと知ったからこその逆転だったと思います。

ちなみに、駆け足の採用になったために、その後ゆっくり話し合う機会として「オファー面談」も実施するほどの徹底ぶりでした。

選考は会社への志望度を高める場でもあることを、再度認識できた案件となりました。

今回の採用成功のポイント!

<スピード感のある選考>
優秀な人材は、複数内定を頂けることは常識!「採用したい」と思える人材に出会えた際は、すぐに選考日程を調整することが大切です。スケジュール調整の失敗で採用ができなかった・・とならないよう、特に経営層などのスケジュール確保は必須。決裁権を持つ方は、ぜひ、選考日程の調整には即対応でご協力頂きたいと思います。

<求職者の費用的、時間的な負担を減らす>
一次選考で、Skype面接ができたことで、面接場所に行く往復の時間が削減できたことはもちろん、交通費の負担も掛かりませんでした。また、最終選考の遠方での面接では交通費を全額負担してくれました。遠方の求職者にとって、面接地までの交通費は数千円~多い時には数万円に及ぶことも。個人としての費用負担は大きくなるので、金銭的な負担が減るような工夫やサポートをお願いします。

<人材を獲得するための熱意と行動>
スピード感のある選考が実施できること、会社の魅力を最大限に伝えること。人材獲得のための行動が熱意となり、人(求職者)を動かしたと感じます。仕事内容や条件、勤務地も大切ですが、人材は「自分を本当に必要としてくれる場所」を探しています。

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