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経営者に届きにくい、採用担当者の本音。「このままでは、採用ができない」

採用に苦戦している企業の採用担当者の、経営者に伝えにくい、本音をご紹介させて頂きます。

経営者は企業を成長させるため、収益を確保させるため、コロナ禍を乗り切るために、未来を見据え活動をされていることかと思います。経営者だからこそ会社の成長させる使命を持ち、事業運営を行っていることが分かっているからこそ、採用担当者は本音を伝えにくいのだと思います。

しかし、採用担当者は現場レベルで、社員の声を聞き、現場をリアルで体感しています。
このままでは、人が辞めていく、採用ができないという現状や原因を理解していますし、会社を想う気持ちを持っています。

しかも、採用の現場、労働者の意識が10年前から大きく様変わりをしています。ただ、経営者は10年前以上の採用現場しかし知らないケースがあり、「なぜ、いま採用ができないのか?」ということを腑に落として理解することが難しいように感じます。

そこで、今回は、採用が難しくなっている採用担当者の本音をご紹介します。
また、自社の採用の課題状況についてのチェックリスト&改善方法を作成しています。

ご参考にいただければ、幸いです。

採用担当者の悩み

※複数企業のお話をまとめて、採用担当者の本音としてご紹介しています。

当社は、地域の有名企業で顧客サービスも優れているため、売上は非常に堅調です。
地域への貢献活動もしていて、業績も良いため、非常に外面は良いと思います。

しかし、社員にとっては厳しい会社だと感じます。
就業時間が非常に長く、休日も少なくい。休日も休日出勤になることが多く、まともに休めない状況です。
元々休みが少ないのに、研修や社内イベントも多く、プライベートの時間も取れません。自分の子どもが自社に入社したいというと、きっと止めると思います。

これほど、休みがない理由は様々あるのですが・・

まずは、通常の職務以外の業務も多いことも理由です。あらゆることを内製化することをめざしています。そのため、業務外の仕事で通常業務が圧迫されてしまいますし、本来の仕事の時間がなかなか確保できません。
また、専門知識もないことを0からやるので時間もかかってしまいますし、クオリティも高くありません。社内でやれば無料でできると考えているようなのですが・・。実際は、業務を圧迫していますし、サービス残業で必死に行っています。
会社としては、人件費は発生していないということなんでしょうが。

管理部門の業務も、営業や技術が兼任で行っています。そのため、採用に関わる人が疲弊していっています。
人事部門が機能していないため、労務管理ができていません。労基に入られたら大変なことになると思います。

人手不足のため、採用活動は行っていますが、経験者採用をするには、給与の提示が低いため、経歴の浅い方の採用ばかりになってしまいます。そのため、マネージメントに時間が掛かってしまいます。それでも、フォローが不足しているので、入社した人材が定着せず、辞めてしまいます。何のために人材を採用しているのか、分からない状況です。

このままでは、いつ離職ドミノが起きてもおかしくないと思っています。私自身、いつまで踏ん張れるのか分からないと思っています。なんとか、会社の状況を改善したいと思っているのですが、どうしたら良いのでしょうか?

いかがでしたか?
中小企業には、会社のことを真剣に想う素晴らしい社員がいらっしゃることが財産だと思います。しかしながら、その声はなかなか経営者には伝わらないのも現状です。

実際に、上記のような状況が続き大量離職が発生した企業などもあり、実際に「その時」が来るまで、改善を始めることは難しいように感じます。しかし、「その時」が来る前に改善を始めることを強くお勧めいたします。

採用に課題を感じているという場合は、以下のチェックリストを活用いただき、自社の状況を今一度、ご確認頂ければと思います。

 社内の研修やイベントが就業時間外で行われている。

最初は社員に楽しんで欲しいと思って始めたイベントが、義務感で出席されているイベントになっていませんか。休日や就業時間外は体を休めや自分や生活空間を整えること、人生を楽しむ時間のために必要な時間です。研修は就業時間内で行いましょう。社内イベントは、あくまでも自由参加で、気軽に不参加が言えることが大切です。

 労働時間が長い。

年間休日が100日以下かつ残業が常態化している企業は要注意です。労働基準法には、1週間に1日の休みがあれば良いという法律はありますが、一週間の労働時間が40時間以内と併せて考えなければなりません。休日も少なく、残業時間も多い状況であれば、改善が必要です。

 内製化や兼務業務が多い。

システム・デザイン・Web・採用・企画、広告・広報・社内イベント企画などは簡単にできる仕事と思われがちです。本当に内製化できる仕事なのか、その仕事にどの程度のスキルが必要で、どの程度の時間が掛かるのか、適切な判断が出来ているのかを見極め、外注をする、専門人材を採用するなどの対応が必要です。

 会社の収益>労働基準法になっている。

一番労働者が苦しい労働基準法違反の業務は、残業代未払いです。
一世を風靡したドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の主人公のみくりがこう言いました。
『人の善意につけ込み、労働力をタダで使おうとする行為は“搾取”だ。「友達だから」「勉強になるから」「あなたの為だから」と、正当な賃金を払わない“やりがい搾取”を見過ごしてはいけない』と。会社での拘束時間=労働時間です。残業代は必ず支払いましょう。

 社員が本来業務に割く時間が少ない。

理想の会社づくりを目指している会社ほど、社内向けイベントが多く、社内ミーティングや目標達成のための資料提出などやるべきことが多くなります。社内向けのイベント企画や立案、準備、資料作成など「名もなき業務」で、本来の仕事に割く時間が無くなっていることに苦痛を感じる社員もいます。
また、熱い上司・経営者であればあるほど、指導の時間も長くなり、業務を圧迫します。本来の業務の時間は、8~9割を確保できる環境となるよう、やるべきことの取捨選択を行ってください。時間は有限です。

 採用の応募数が激減していることは、業界や時代のせいだと考えている。

業界によっては、労働時間が多いことが一般的であったりすることがあります。そのため、働き方が大変厳しい環境であっても、それが「当たり前」であり、問題だとお感じになっていないこともあると思います。業界の常識は、非常識ではないのか、ということを疑ってみてください。

 0  ・・・健全な状態です。人材採用に問題はないでしょう。
 1~3 ・・・やや危険な兆候がありますが、課題を解決すると採用も順調に進むでしょう。
 4~6 ・・・労基に駆け込まれる前に、早急に社内の体制を見直しましょう。

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