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企業が知らない内定辞退の本音を公開

先月に引き続き、内定辞退の理由を分析したいと思います。

弊社の紹介者を振り返ると、直近1年間では、辞退者が38名いました。もっとも多かった辞退理由は他社内定(22名)です。その次に多かったのが仕事内容(7名)、そして提示された条件と希望の不一致(5名)と続きます。

<辞退理由の内訳>

上記はあくまで表向きの辞退理由ですが、掘り下げて考えると他社を選ぶ理由があったはずです。では、他社を選ぶことになった理由は何だったのでしょうか?内定辞退の核心となる原因を整理してみました。

1. 選考のスピード

選考途中で辞退されたケースが、19名/38名(50%)でした。全体のちょうど半分です。そのうち11名はかなり良い評価を企業様から頂いており、内定となっていた可能性が濃厚でした。

エージェントとして確認しているのは「本当にどちらの企業にも魅力を感じており、どちらにも入社したい」という想いでした。

だからこそ、内定を出してくれた企業をあまり待たせたくないと考え、先に内定をくれた企業へ入社することに決める方が多くいました。

このように、スピードが致命傷となることは珍しくありません。本当に採用したい人材の可能性がある場合は、できる限り早く選考スピードを上げて頂きたいと思います。

都心部では選考から2週間程度で内定が出るのが一般的だそうです。2週間はさすがに難しいかもしれませんが、書類選考、面接などの後の合否連絡は1週間などを区切りに頂ければと思います。

また、調整が難しい場合はどれくらいの期間がかかるのか、選考スケジュールの見通しや予定などを候補者に連絡を入れるだけでも、辞退の低減に繋がります。選考結果の連絡がないことや見通しがつかないことで、大切にされていないと感じますし、企業への不信感に繋がります。

人材紹介を利用しているようであれば、選考が遅れている理由や選考がいつくらいになるかなどの状況をエージェントにお伝えいただくと、候補者にも説明し、スケジュール調整してサポートすることが可能です。

2. 給料

賃金を判断軸にして、内定辞退した人は8名/38名(21%)でした。意外と多くないと思います。賃金は、既存社員との兼ね合いがあり、調整にも限界があります。それを理由に辞退されるのは、致し方ない面があるように感じます。

しかし、一般的には賃金に見合った人材が応募してくるので、応募者のレベルに不満がある場合は賃金アップを検討した方が良いかもしれません。難しい場合は、それ以外で会社や仕事の魅力を育て、丁寧に説明する必要があると思います。

候補者が期待しすぎていたことが辞退理由につながったケースがありました。例えば年収400万円~800万円と記載されているような場合、自分のキャリアからすると真ん中(600万円)くらいはもらえるかなと期待する候補者はよくいます。

それが450万円だと、低く感じてしまいます。年収400万円~500万円と記載していたら、同じ450万円でも結果がかわっていたかもしれません。求人票には「初年度」の「中途入社者」にお支払いする現実的な金額を記載することをお勧めします。

3. 仕事内容が曖昧

仕事内容がよく分からないということで辞退した候補者が5名/38名(13%)います。仕事内容が「希望と合致しない」ではなく、「よく分からない」ことに不安を感じて辞退しました。

候補者の中には、慎重に考えて結論を出すタイプの人材もいます。細かい質問だと感じることもありますが、可能な範囲でご説明頂くことで信頼関係が醸成されます。

反対にそれを怠ると、「大丈夫かな?なにか都合の悪いことを隠しているのかも…」と変に勘繰られ、不信の芽ができてしまいます。可能な限りご説明頂ければ、たとえ回答に曖昧さが残ったとしても、信頼関係が築けるはずです。

また仕事内容も条件面もほぼ同じだった場合、依頼したエージェントからの採用・定着の実績が有るか、無いかということが判断軸になることがあります。ムツビエージェントから入社した先輩社員がいる場合、私たちは先輩社員の仕事ぶりや会社での様子などをお伝えすることがあります。そうすることで、候補者自身も当該企業で働く自分の姿をより具体的にイメージすることができ、最初の一歩を踏み出しやすくなるのだと思います。

4. 仕事内容にギャップがあった

仕事内容を面接で詳しく聞いたところ、自分が希望していた仕事内容と異なったため辞退したケースです。3名/38名(8%)いました。

例えば、管理職候補だと管理業務と現場業務の比率や、専門職の場合は求められる専門性のレベルなどです。これは「良い辞退」だと思います。知らないままに入社していたら、入社してからギャップを感じて早期離職になっていた可能性が高いケースです。

面接で仕事内容を詳しく説明することは、信頼関係を構築し、内定辞退はもちろん早期離職のリスクもかなり低減できます。

5. その他

下記の内定辞退理由は、各1名ずつの少数派ですが、ご参考ください。

社風があっていないと感じた
面接に訪れた際に、社員様に挨拶をしても無視されたことから、社風があっていないと感じ辞退した人材がいました。

起業することにした
転職に際して、思い切って起業することにした方もいました。

より共感できる企業理念を持った会社を選んだ
地方創生に貢献したいと考えて移住転職を考えている候補者がいました。その理念をより前面に出している仙台の企業を選びました。

勤務地が自宅から近い
通勤時間が短いことを重要視していました。その他の条件がよく似ている場合は、判断軸の一つになるのかもしれません。

6. まとめ

選考スピードや仕事内容の説明など、「選考方法」を理由に辞退してしまった人が24名/38名(63%)います。

「選考方法」は賃金や仕事内容、通勤時間に比べて容易に変更できます。つまり、辞退の6割は防ぐことが出来た可能性があります。
まずはできる工夫から始めてみてはいかがでしょうか。

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