採用についてご相談をいただく中で、最近よく感じることがあります。
それは、
採用ターゲットが「決まっていない」のではなく、“決めすぎている”ということです。
例えば、
「長く働いてほしいから、20代がいい」
「同業での経験がある人でないと難しい」
「転職回数が多い人は避けたい」
といったように、性別や年齢、経験の有無といった“わかりやすい条件”で対象を絞り込んでいるケースです。
これらはすべて、これまでの経験や現場の状況を踏まえた判断であり、決して間違いではありません。
ただ、その条件に当てはまる人がいなければ、採用は進みません。
実際に、紹介した人材に対して「やはり経験者の方がいい」と見送られるケースや、
応募があっても条件に合わないという理由で面接に進まないまま終わってしまうケースも見られます。
結果として、
「いい人がいない」
「なかなか決まらない」
という状態が続いてしまいます。
ここで一度立ち止まって考えたいのが、
「どんな人がいいか」ではなく、「どんな役割を担ってほしいのか」という視点です。
- 今の組織で手が回っていない業務は何か
- 誰がやるべきか曖昧になっている仕事はないか
- 今後、強化していきたい領域はどこか
といった点を整理していくことで、必要な人物像はもう少し柔軟に見えてきます。
実際の事例でも、管理部門の管理職を募集していた企業で、当初は「男性が望ましい」という条件がありました。
しかし、実際にご紹介したのは、経理の管理職経験があり、銀行対応や社内外の調整業務も担ってきた女性の方でした。
当初は条件面で難色を示されていましたが、実際にお会いいただく中で、経験や適性を評価され、最終的に採用に至っています。
また、IT分野では「経験者でないと難しい」とされていた企業が、金融機関出身でIT業界に挑戦したいという方を採用したケースもあります。
結果として、その方は論理的思考力やコミュニケーション力を活かし、顧客対応や要件整理の場面で力を発揮しています。
このように、最初に設定した条件にとらわれすぎてしまうと、本来出会えるはずだった人材を見逃してしまう可能性もあります。
もうひとつ重要なのは、「採用しないことのリスク」です。
- 人手不足が続く
- 既存メンバーの負担が増える
- 新しい取り組みに手が回らなくなる
採用を見送ることで、こうした状態が長く続いてしまうこともあります。
また、仮に採用がうまくいかなかったとしても、その経験から得られる学びは、次の採用に活かすことができます。一方で、採用自体を止めてしまうと、組織も採用の進め方も変わらないままになってしまいます。
採用ターゲットは、厳密に“条件で絞り込むもの”ではなく、
役割を起点に考えながら、状況に応じて見直していくものです。
少し視点を変えるだけで、これまで対象外としていた人材にも目が向き、採用の選択肢が、少しずつ広がっていきます。
次回は、
そのターゲットをどのように求人に落とし込むか、
「求人設計」について整理していきます。