Column 経営者・人事向けコラム

2025年4月1日から「育児時短就業給付金」がスタート。時短勤務制度の積極的な導入で、採用力向上を目指す。

2005年に時短勤務制度ができてから、20年が経ちました。
徳島の企業も時短勤務を導入し、産休育休後も時短勤務を取得し、働きつづける女性が増えてきています。

そして2025年4月1日より、更に時短勤務を取得しやすいように時短勤務で下がった給与の補填をするための「育児時短就業給付金」が開始されます。

これによって、女性の育休後の復帰を促すこと、男性の時短勤務も推奨しやすくなることを目指します。改めて、時短勤務制度、育児時短就業給付金について、そして「時短勤務制度」が今後の企業の採用力強化にどのように生かすことができるかを考えていきたいと思います。

まずは、時短勤務制度についておさらいをしましょう。

時短勤務制度とは?

育児・介護休業法に基づき、「3歳未満の子どもを育てている労働者」「正社員・契約社員などで、勤続1年以上の者」は、時短勤務を申請する権利があり、1日の労働時間を6時間まで短縮することができます。

介護の場合は、家族(配偶者・親・子)を介護する必要がある場合、介護が必要な状態になった日から通算93日まで利用可能で、1日の労働時間を6時間まで短縮できます。時短勤務は義務ではありませんが、企業は従業員から申請すれば拒否できません。

まずは、「時短勤務制度がない」という企業は、ぜひ法律に照らし合わせた時短勤務制度の運用を目指して欲しいと思います。

また、2025年4月に予定される育児・介護休業の法改正においては、3歳から小学校入学前の子どものいる従業員を対象に、『始業時刻等の変更、テレワーク、新たな休暇の付与(10日/年)、短時間勤務制度』など2つ以上を企業が導入することが義務付けられますので、時短勤務の延長も想定されます。

「3歳以上の子を養育する親」への時短勤務やテレワークなど柔軟な働き方の整備の義務化が始まる。【2025年4月、育児・介護休業法改正】
参考URL:https://mutsubi-a.jp/for-hr-professionals/ikujikaigokyugyoho_202504/

育児時短就業給付金とは?

2025年4月1日より導入される「育児時短就業給付金」は、2歳に満たない子を養育するために所定労働時間を短縮して就業した場合に、賃金が低下するなど一定の要件を満たしたときに支給される給付金です。

保育園に預けて働きたいけれど、2歳以下では保育料無償化の対象にならず、時短勤務で手取りが減り保育料の支払いが苦しいという方に、非常にありがたい制度です。また、こちらは時短勤務を取得する、男性にも当然適応されます。

育児時短就業中の各月に支払われた賃金額 × 10%となり、支給額イメージは以下のようになります。

出典:厚生労働省「育児時短就業給付金リーフレット」(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001394846.pdf

簡単にいうと、2025年4月1日から育児休業給付(育休手当)と出生後休業支援給付金をあわせると手取りで10割まで引き上げられる予定です。
※支給には上限金額なども設けられていますので、詳細は厚生労働省の資料をご確認下さい。

法律の枠を超えて時短勤務を導入する企業も

人手不足が加速する中、企業は人材に選ばれる企業にならなければなりません。

特に20~30代の若い世代の共働きが当たり前になっている中、「時短勤務・正社員」としての働き方を提示する企業はとても魅力的な企業と感じてもらえるでしょう。

法律では、正社員・契約社員などで、勤続1年以上の者が対象になっていますが、徳島の企業の中でも入社時点から「時短勤務」での採用をするも徐々に増えてきています。また、大手企業の中では小学校在学中の時短勤務を認める企業も多く存在します。

そのような中で、徳島の中小企業が、時短勤務を認めない、もしくは年齢制限を法定通りで運用するのでは、人材を確保することは難しくなってくるのではないかと思います。

調和を重んじる企業から、時短勤務はその他の従業員に対して「不公平感がある」という声を聞くこともありますが、時短勤務で働く社員は、勤務時間に応じた給与の支給になるため、企業が支払う給与は至って正当な給与額なのではないかと思います。

また、育休中や時短勤務社員の業務をフォローする同僚に対して手当を支給した企業が、国から、支給手当した金額の3/4~4/5にあたる助成金「業務フォロー手当助成金の制度」もあり、時短勤務を取得する社員へのサポートもでき、不公平感を減らすことできるようになっています。

育休を推進する企業にメリットの大きな助成金制度が新設「業務フォロー手当」のご紹介
参考URL:https://mutsubi-a.jp/for-hr-professionals/gyoumufollow_teate/

「男女とも」「取得しやすい」時短勤務制度の導入が採用競争力を引き上げる

今後、徐々に「男性の時短勤務取得」が増えていくことを予測しています。

また、男性の時短勤務取得を推奨する企業には、特に新卒や若手人材からは魅力的な企業に映り、採用競争においても有利な企業となっていくと思います。

今まで、時短を取得すると所得が減るとして、男性社員の時短勤務取得はあまり行われてきていませんでしたが、今回の育児時短就業給付金の制度導入では「男性の時短勤務取得」が特に期待されています。

その背景としては、女性だけに仕事に加えて、家事育児の負担が抱えることに限界が来ていること。早急に、この負担を分散していかなくては、子どもを持ちたいと思う女性がますます減少していくため、改善が急がれます。また、女性のみが時短勤務制度を取得する一方で、子どもができた男性が働き方を変えず、フルタイム+残業ありの働き方を続けることで、男女のキャリアの格差が開き続けることにもつながり、これもまた是正が求められています。

そのため育児休業給付金の取得が推進され、男性が時短勤務制度を使用することも、数年後には当たり前の光景になっていくでしょう。

今はまだ時短勤務制度の積極的な推奨がされていないからこそ、

・男性の時短勤務制度の推奨
・子どもが3歳以上になっても希望者には時短勤務制度が使用できる
・入社時点から時短勤務での勤務可

などは人材が魅力を感じやすい制度になります。導入が当たり前になってしまうと、その魅力が薄れてしまうので、導入の検討はお早目がよいでしょう。

企業にとっては、様々な制度や働き方の変化が生まれ、その状況に追いついていくことが難しい面もあるかもしれませんが、国の制度を理解することで、未来を予見しつつ、制度の後追いとならず、積極的な制度づくりを行うことで、採用力向上を目指していただければと思います。

このコラムを
読んでいる人に
おすすめです