今回は、「内定辞退」という失敗から当社が得た教訓や対策を共有します。
面接では志望理由を確認して内定を出すと思います。
応募者も入社を希望しているから選考に参加します。
それなのに内定を出しても辞退される・・・ということが最近増えてきています。
なぜ入社辞退が起こってしまうのでしょうか?
辞退に際して、企業様から聞くのは問い詰めるようで憚られることも多いようです。
そのため辞退した理由の本当のところを把握するのは難しいと思います。
そこで私たちエージェントは、辞退された場合もできるだけ理由を詳しくお聞きしています。
まず今月は「内定辞退」をとりまく社会現象と、当社の直近1年のデータをご紹介します。
1. 新卒学生の内定辞退率
新卒では2016年に内定辞退が急増し、それ以来ほぼ毎年上昇しています。新卒採用における最大の障害となっています。
中途採用は、新卒と比較すると内定辞退は少ないのですが、ここ2~3年は複数社から内定をもらい、辞退されることも珍しくなくなってきました。
<新卒の就職内定辞退率>

毎年、6割以上の学生が内定を辞退しています。
単純計算すると、2人採用するためには5人に内定を出さなければならないということを意味します。中小企業では非常に厳しい状況です。
2. 徳島の企業様
徳島県内でも、主要50社のうち、31社が必要な新卒学生を確保できていません。
その理由として最も多かったのが「内定辞退」でした。
<徳島県 主要50社採用アンケート>

今年は、獲得競争激化のため採用活動を「断念」する企業が、8社あるという例年にはなかったショッキングな回答もありました。
3. リクナビに行政指導
採用企業だけでなく、新卒採用サイトの運営会社も頭を悩ませているようです。
2019年8月、世間をにぎわせた社会問題があります。
リクルートエージェントが、「リクナビ」を利用する学生の内定辞退率を算出し、そのデータを学生に無断で企業に販売していたのです。
学生のサイト利用状況をAIで解析し、内定辞退率を5段階で評価するというものです。
厚労省はこのサービスを「違法」と判断し、サイト運営会社であるリクルートキャリアに行政指導(是正勧告)を行いました。
リクルートは人材業界の絶対王者です。その王者が過ちを犯した背景には、内定辞退が増えすぎ、就職ナビの信頼が低下していることに焦りもあったのではないかと感じます。
4. 購入を告白した企業
このサービスを購入していたのは、超大手企業ばかりで、なんとトヨタ自動車も含まれます。
33社が購入していたそうですが、以下は購入を自主的に発表した企業です。
● トヨタ自動車
● ホンダ
● 三菱電機
● YKK
● 京セラ
● 東京エレクトロン
● NTTグループの2社
● アフラック生命保険
● りそなHD
● 大和総研HD
● レオパレス
● リクルートキャリア
なお、各社とも辞退率のデータを合否判定には用いていないそうで、選考プロセスの改善やAIの技術検証が目的とのことです。
その真偽はさておき、超大手企業も内定辞退を防ぐために腐心し、ギリギリのところまで攻めている様子がうかがえます。
5. 内定辞退率の収集そのものの違法性
行政指導の理由ですが、一部学生の同意を得ていなかったので、個人情報保護の観点から問題になるのは当然です。
しかし、厚労省はさらに踏み込んでいます。
仮に同意があったとしても、その同意は「余儀なくされた状態」であり、不適切である。
「(内定辞退率のデータを販売するサービスは)学生の立場を弱め、就職活動に不利に働く恐れが高い」との理由で、「今後行うべきではない」
とまで述べました。
結局、新卒採用において、AIによる内定辞退率の算出はできないことになりました。
6. 企業と学生にもメリット
しかし、精度の高いAIによる内定辞退率の算出は、メリットもあると考えます。
企業にとっては、想定以上の内定辞退で混乱することを防ぐことが出来ます。
志望度が低い学生へは、フォローや魅力付けの強化など健全な対策を講じることが出来ます。
辞退を見込んで多めに内定を出す結果、内定をもらえる学生が増え学生にとってもチャンスが広がります。
また、辞退率の高さだけでなく、志望度の高さの証明にもなります。
この度はアンフェアな個人情報の取扱いで問題があったと思いますが、メリットも大きい技術ですので活用に向けて議論を深める必要があると思います。
7. 内定辞退の過半数は他社内定
議論の深まりは待つことにして、根本的には「辞退を見抜く」ではなく「辞退されない」会社作りが大切です。
というわけで長くなりましたが、内定辞退の実際の理由についてお話ししたいと思います。
過去1年のムツビエージェントからの紹介者のうち、内定辞退、または選考途中で辞退した人は38人いました。
<辞退理由の内訳>

表向きの理由は、他社内定のための辞退が最も多くなっています。
しかし、他社を優先する理由を掘り下げるとどうでしょうか?
給与面で劣るからということもあれば、単純に先に内定をもらったからという方もいます。
来月は、どのような理由で辞退が起きるのか?について当社の過去のデータを分析しその結果をお伝えしたいと思います。