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2023年、徳島県内企業の賃上げ率は過去最大へ。人材の採用定着のために賃上げを行う企業も増加。

2022年の末以降、大手企業を中心にベースアップ、初任給の引き上げなどを発表、2023年には、企業の賃上げが相次ぐようになり、賃上げラッシュともいえる現象が見えるようになりました。

きっかけとしては、2022年12月に「連合(日本労働組合総連合会)」が春闘で5%の賃上げ要求を決定したことから始まります。円安や原材料高によって物価上昇によるインフレ率が3.7%だったため、それを上回る5%を要求したということです。

連合の発表以降の2023年、企業が続々と賃上げを表明することとなりました。

特に、大手企業の賃上げ率としては3%を超える企業はもちろん、5~10%を超える賃上げ率を発表する企業も多く見受けます。

さて、徳島県内の動きはどのようになっているのでしょうか。

徳島新聞で発表されていた個別企業の賃上げ状況

徳島でも2023年後半から現在に掛けて、賃上げのニュースを見るようになりました。
特に、徳島大正銀行のベア・初任給引き上げが徳島県内においては最高数値となったのではないかと思います。

徳島大正銀行が2023年3月に ベアと初任給の引き上げ、行員、嘱託職員、パートタイマーを合わせた全従業員約1330人を対象とし、定期昇給では約0.5%を実施する予定で、ベア(行員平均4・1%)と合わせると4・6%程度の賃上げを発表。

また、ベアに伴い、24年4月に入行する行員から初任給を2万円引き上げも発表。そして、2024年3月にもベアと初任給の引き上げを行う方針を決定。全従業員平均で2・9%程度行い、初任給の引き上げも発表。3年連続のベア実施となりました。

阿波銀行では、2024年3月、ベアと初任給のひき上げを行う方針を決定。3.2%程度のベア引き上げ率の見込みで、実施は2年連続となるようです。

2023年度の徳島県内企業賃上げ実施状況

それでは、徳島全体のご状況も紹介します。徳島経済研究所が、アンケートを実施し、2024年3月1日~16日のうち、回答した速報値となります。

ベアを行った企業は108社ベアは行わず、定期昇給もしくは手当の充実で賃上げを行った企業が114社賃上げは実施せずもしくは未検討、検討中、わからないなどの企業は77社となり、徳島県内全体でも賃上げは進んでいるようです。

◆ベアを行った企業(108社) 
・ベアのみ8.2%(25社)
・定期昇給+ベア・・・15.1%(46社)
・定昇+ベア+手当の充実・・・10.2%(31社)
・ベア+手当の充実・・・2.2%(6社)

◆定期昇給もしくは手当(114社)
・定期昇給のみ・・・27.2%(83社)
・定昇+手当の充実・・・6.2%(19社)
・手当の充実・・3.9%(12社)

◆実施せず、検討中(77社) 
・実施せず・・・4.6%(14社)
・検討中・・・10.8%(27社)
・未検討・・・4.3%(13社)
・わからない・その他・・7.5%(23社)

徳島の企業が、賃金・初任給の決定に際し、重視すること

賃金・初任給の決定に際し、重視することで最も高いのが「現在の会社の業績(60.%)」となり、2022年7~8月に実施した調査でも同様にトップだったようですが、前回は74.1%で、比率は低下しているようです。

一方で、比率が高まっているのが、第2位の社会的水準(47.2% 昨対比+16.6%)、次いで、同業他社の水準(42.6% 昨対比+10%)となっています。

加えて、従業員のモチベーション向上(42.6% 昨対比+10.2%)、人材の確保、流出防止が(36.1% 昨対比+19.4%)となりました。

この傾向から、徳島の企業は、賃金アップをする理由として、会社の業績が最も重視するものの、社会全体の賃上げ動向や同業他社の状況も重視し、社員の定着や採用につなげる考えが高まり、徳島全体の賃上げが進んでいる状況が読み取れます。

また、賃上げを実施している企業は業績好調であり、人材採用にも意欲的であることがうかがえます。

「いつか徳島」での転職を希望する理由として「給与をアップさせたい」がトップとなり、(転職理由の調査開始の2024年1月~3月段階)、給与の低さが社員の離職理由に直結しやすくなっていることが考察できます。

2023年度賃上げ額及び賃上げ率は?

徳島県内の2023年度の全産業の賃上げ額は、+8,000円(前年同調査+6,200円)、賃上げ率は+2.8%(同+2.2%)と、インフレ率+3%に対して及ばないものの、2013年度調査以降の最高水準となっています。

業種別では、以下のようになっています。

・製造業:賃上げ額+8,900円、賃上げ率+3.0% 
(前年同調査|賃上げ額+3,900円、 賃上げ率+1.6%)

・非製造業:賃上げ額+6,700円、賃上げ率+2.4%
(前年同調査|賃上げ額+4,900円、 賃上げ率+1.8%)

従業員規模別でみると、1~29人の企業では賃上げ率1.7%、30~39人の企業では2.0%、100人以上では2.9%の賃上げ率となっています。

※徳島経済研究所・2023年9月11日徳島県内民間企業の賃上げ動向に関するアンケート調査(有効回答146社、平均年齢41.7歳、定期昇給分を含む)徳島経済研究所

徳島の賃上げ率の現状まとめ及び考察

全国的な賃上げの流れを受け、徳島県内でも賃上げは進み、特に2023年は過去最高の引き上げ率となりました。

以下のグラフが、徳島の企業の2013年よりの賃上げ率となり、賃上げの機運を感じます。一方で、定期昇給に加えて、インフレ率に合わせたベアを含む、昇給の検討が毎年必要にもなり、経営数字を検討するうえでも、ベアや昇給率の検討については例年の大きな課題となりそうです。

そのため、インフレ率や他社の賃上げ率の動向には注視する必要があるのではないかと思います。

次回のコラムでは、新卒学生の初任給についても徳島県内の平均などを調査の上、お伝えしたいと思います。

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