Column 経営者・人事向けコラム
市場の動向や
今後の採用活動に役立つ
情報などをお届けします。

2024年度新卒、インターンシップ直結採用が開始される。大きな変化が予測される新卒採用への備えを。

2022年4月19日に、「2024年度新卒からインターンシップの評価を、選考で利用できるようルールを見直す」「インターンシップでは、5日間以上などの期間が必要」というニュースが流れました。

2024年度新卒といえば、もうすぐそこに迫っています。
長期のインターンシップを実施することは難しく、1dayの就業体験を中心のインターンシップを行ってきた徳島の多くの企業では、新卒採用戦略の大幅な見直しが必要なのではないかと、不安になる人事ご責任者様も多いのではないかと思います。

1dayインターンシップ自体は禁止されるものではありませんが、インターンシップ直結での採用が容認されることで、今までの新卒採用活動についての見直しが迫られることになります。もちろん、昨年と同様の内容での実施自体に問題はありませんが、全体の流れを理解したうえで、2024年度新卒採用活動についての計画を立案する必要が生まれそうです。

2024年度新卒採用は、新ルールが追加されることで新卒のスケジュールや実施方法などの大きな変化が起きることになると思います。

今回のコラムでは、経団連と大学で作る産学協議会が発表する資料より2024年度以降に新たに加わる新ルールについて、ご紹介いたします。また、2024年度新卒採用に生まれる変化を予測しました。

新たなルールについてより詳しいデータをご確認されたい方は、産学協働による自律的なキャリア形成の推進(2022年4月18日)より資料をご覧ください。

現行ルールと新ルール、違いは何か。

2023年度新卒採用までにおいては、インターンシップは「採用活動ではない」とされ、インターンシップで得た情報での評価を活用した採用活動をしてはいけないと規定されていました。

2024年度新卒採用でも、インターンシップは「採用活動ではない」という前提条件は変えずに、一定のルールに則ってインターンシップを実施した場合においては、インターンシップで得た評価を活用し、採用活動を行っても良いという内容が追加されるようになりました。一定のルールとは、5日間以上のインターンシップが必要など5つの要件が必要とされます。

ここで誤解が生まれそうになりますが、5日間以下のインターンシップを実施してはいけないということではありません。1dayのインターンシップ自体は実施可能です。しかし、1dayは、インターシップ採用直結の採用活動は禁止されています。

一方で、5日間以上のインターンシップが必要など5つの要件をクリアした場合、インターンシップで得た評価などを採用活動に活かしてよい、つまりインターンシップ採用直結の採用活動が認められるようになります。

4つに分類されたインターンシップ

産学協議会はインターシップを4つに分類し、新しく分類した2分類の「タイプ3」については、インターンシップでの評価を採用活動に活用しても良いとしました。「タイプ4」について詳細は検討中とのことで、2024年度新卒採用活動に活用されることはないとのことです。

産学協議会の推奨するロードマップによると、2022年5月~23年3月は、企業には「自社が実施するプログラムを4類型に沿って整理し、実施形態等を再設計。とりわけ、タイプ3を中心に企画・準備をする」との記載があります。つまりは、インターシップ実施期間は5日間以上を強く推奨しているということになります。

就職情報会社には、就活サイトにおける各社プログラムの掲載方法の検討・準備をするようにと記載しています。最終的な運用については、就職ナビ会社がルールを作るため、どのような掲載ルールを作るのか特に注視する必要があると思います。

とはいえ、2024年度新卒の就職ナビに反映するには、やや期間が短すぎるように感じるので、個人的な意見となりますが、実施時期の延期についての可能性もありえるのではないかと思います。

タイプ3「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」の遵守すべき5つの基準

それでは、インターンシップでの評価を採用活動に活用しても良い、タイプ3「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」の遵守する基準をご紹介します。5つの基準はありますが、企業が運営するにあたっての一番の課題は、インターシップを5日間以上実施できるかという点だと思います。

就業体験要件:
必須で実施する。特に、学生の参加期間の半分を超える日数を職場で実施することが必要となります。テレワークも可。

実施期間要件:
汎用的能力活用型では、5日間以上、専門活用型は長期の2週間以上とする。

指導要件:
就業体験では、職場の社員が学生を指導し、インターンシップ終了後に、学生に対してフィードバックを行う。

実施時期要件:
学業との両立に配慮する観点から、大学の正課(授業として行うこと)及び博士課程を除き、学部3年・4年ないし修士1年・2年の長期休暇期間(夏休み、冬休み、入試休み・春休み)に実施する。

情報開示要件:
募集要項等に、以下の項目に関する情報を記載し、HP等で公表する
①プログラムの趣旨(目的)
②実施時期・期間、場所、募集人数、選抜方法、無給/有給等
③就業体験の内容(受入れ職場に関する情報を含む)
④就業体験を行う際に必要な(求められる)能力
⑤インターンシップにおけるフィードバック
⑥採用活動開始以降に限り、インターンシップを通じて取得した学生情報を活用する旨(活用内容の記載は任意)
⑦当該年度のインターンシップ実施計画(時期・回数・規模等)
⑧インターンシップ実施に係る実績概要(過去2~3年程度)
⑨採用選考活動等の実績概要 ※企業による公表のみ

2024年度新卒採用はどうなるのか?

結論としては、夏・冬のインターンシップがより盛んになり、インターンシップ直結の採用活動が一般化し、就職活動の早期化が進むことが予測されます。

前述では、タイプ3「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」においては、インターンシップで評価した内容を採用活動に活用できるという説明を繰り返しましたが、内容について、理解しにくかったという方がほとんどではないでしょうか。また、この内容がすんなりと頭に入り、常に理解した状態でいる方の方が少ないと思います。

そうなると、より分かりやすい部分、つまりインターンシップで採用活動をしても良い、という部分だけが先行する可能性が高いと思います。また実際に2023年度までも、インターンシップを採用活動と位置付け、インターンシップで得た評価を活用していた大手企業やベンチャー企業などは数多くあります。ルールとしては、禁止されていたことが、2024年度以降は公然と行えるようになるので尚更だと思います。

徳島の中小企業が考えるべき戦略

これからの状況を考えると、2024年度以降についてはより新卒採用の難易度が高まっていることが予測されます。

学生からすると、インターンシップに5日間以上参加すると採用選考のベースに乗るのであれば、インターンシップに参加しない手はないでしょう。また、5日間の拘束があるということは、学生は選考企業数を絞りこむことになります。そして、5日間のインターンシップ参加企業へ入社するという選択がより強くなるのではないかと思います。つまり、5日間のインターンシップを実施でき、そして学生の集客ができる大手企業やベンチャー企業にとってより有利な新卒採用活動になっていくのではないかと思います。

そのため、今まで新卒採用を実施していた企業は、以下のことを検討することを推奨します。

・前年に採用成功していない場合は、新卒採用自体を継続するかどうか。
・新卒採用を中止する場合は、高卒採用、中途採用の検討を行う。
・新卒採用を実施する場合は、5日間以上のインターンシップを実施するかどうか。
・短期のインタ―シップのみの実施をする場合は、スケジュール全体の見直し。

特に、2024年度以降については大きく新卒採用が変わり始めます。新卒採用を行う企業全体の動きを見ながら、新卒採用の戦略を立案し、適切なプログラムと適切な時期で実施できるよう計画を早め早めに立案することをお勧めします。

このコラムを
読んでいる人に
おすすめです