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徳島の企業の休日は多い、少ない?採用を有利にする休日休暇の付与方法を考察する。

転職先の企業を選ぶ中で、年間休日数を重視する人が増えています。

家事・育児(妊娠・出産)を担うことの多い女性は休日日数の多さを重視した転職活動は昔から変わらずありますが、20代~40代の男性からも「給与は少し減っても良いので、休日(ないしは残業を短くしたい)が欲しい」という声も多数聞くようになってきました。

転職希望者の中では、「休日日数の多さ」が企業選びで重視する条件の一つになってきています。

働き方改革が推進される中、残業時間の規制や時間外労働手当の支払いの徹底、計画有給の推進など、企業からすると全体的な労働時間が減少され、経営が厳しくなってしまうという声もしばしばお聞きします。

とはいえ、休日が少ないことで人材からの募集が集まらないようであれば、休日日数の増加は検討すべき経営課題ともいえるでしょう。また、休日を増やしたいと考える男性の多くは真面目で、仕事熱心な傾向も強く、仕事でも成果を上げることが期待できます。

そこで、今回のコラムでは人材サイドの考えや背景を探り、また企業としてどの程度の休日日数を付与することが妥当なのか、新しい休日の付与方法などをお考えいただくきっかけとしていただければと思います。

休日を増やしたい求職者や人材の心理とは?

休日を増やしたい主な理由は大きく分けて2つあります。
1つは、「プライベート(家事・育児)に割く時間を作りたい」という理由です。
大半の女性が休日を増やしたい理由が、家事・育児のためですが、最近では30代~40代の男性も家庭参加を希望する傾向が高まってきています。

1980年では、専業主婦世帯は1,114万世帯で共働き世帯は614万世帯だったのが、2021年では、専業主婦世帯は566万世帯で共働き世帯は1,247万世帯となりました。1980年では役3割だった共働き世帯が2021年では約7割となり、共働き世帯が2倍以上となっています。また、共働き世帯の女性のうち42%(2018年調査)が週35時間以上の勤務をしているため、全世帯の全体の約3割程度が妻もフルタイム勤務をしていることになります。

多くの男性が家事・育児への参加は必須となる中、「男性が仕事、女性が家庭を守る」という価値観が充満する職場環境では、家庭で求められる役割が果たせず、休日日数の多い職場への転職を検討する方が増えてきています。

そして もう1つは、「副業や勉強に充てる時間が欲しい」という声も良く聞くようになってきました。こちらも20代~40代に多い声だと感じます。終身雇用制度で企業から守られるという働き方が難しい中、自分の武器だと言えるスキルを身に着けたいと考えているようです。

株式会社クラウドワークスのアンケート調査によると、「副業経験者」は33.6%、「副業未経験だが副業意向あり」と答えた人は26.0%と、過半数以上が副業を行っている、ないしは行いたいと考えているようです。

徳島の企業の休日は多い、少ない?

徳島県の企業は比較的残業時間は少ないと思いますが、都市部と比較すると休日が少ない傾向にあります。都市部から徳島県へUターンなどで転職しようとされる方は、まずは年間休日日数の少なさに驚かれます。

都心部は、ホワイトカラーの職種が多いため、年間休日125日以上の会社も多いですし、また建設業なども人手不足が深刻な業界は、採用を有利にするために休日日数を増やす企業も増えてきています。県内企業と条件の比較を行うことが多いかもしれませんが、人材の獲得は全国との闘いになるため、徳島の水準をもっと高くしていく必要があると感じます。

思ったように人材を採用できていないとお感じになる企業は、自社の休日の水準を以下のグラフでご確認いただき、休日日数の増加をご検討いただければと思います。

※以下のグラフの勤務形態は例外もあると思いますが、都心と地方の比較をするために、イメージとして参考にしてください。

休日日数の少なさをどうカバーするのか

とはいえ、単純に年間休日を増やすことができれば一番良いのですが、有給休暇取得も推進しなければならないので、年間休日を増やすとさらに有給休暇を全取得されると、業務が回らない・・と有給休暇取得との兼ね合いも問題になってきます。

また、年代によって休日に対しての価値観も違うと感じます。たとえば50代以上の男性は特に休日を欲しがらない傾向があると感じます。50代以上の方は手間のかかる子育てもなく、家庭での役割もあまり多くないため、出社している方が楽しいという声も聞きます。

若い方は、趣味やプライベートの時間、家庭を持つためにも婚活の時間が必要ですし、家庭を持った後も家庭での時間を必要とします。世代間などの休日への意識や価値観のギャップも大きいことも課題だと感じます。

そこで、ご提案したい方法がこちらです。

・有給休暇の全日数の取得推進を行う
・年間休日を社員個別にカスタマイズする

有給休暇は全日数取得を推進し、それを求人票に記載すると大きな魅力付けになると思います。全体の休日日数が少なくとも、有給休暇をすべて取得できるのであれば、魅力に感じる方も多いと思います。

また、個々人の事情に応じて年間休日日数を増やすことも検討できるのではないでしょうか。また、逆に年間休日を減らし、勤務日数を増やしたいという方のニーズにも応じることで、全体の労働力の帳尻りを合わせることもできるかもしれません。もちろん、年間休日を増やす場合は、その分の給与は差し引き、年間休日を増やす場合はその分の給与を増やします。

一斉に休日日数を増やすことが採用力向上に直結はしますが、一律に休日を増やすこともまた人材ニーズに合致しない場合もあります。「もっと働きたい!もっと給与を増やしたい」という社員もいると思います。休日日数を増やしたいという転職理由も上位になりますが、給与を増やしたい、より成長の機会が欲しいという転職理由も上位になります。人によって求めるものは様々で、仕事の習熟度やライフステージによって、同じ人でも希望する働き方に大きな変化もあって当然です。

生産力を落とさないよう人材の確保をするためには、一律の働き方を提示するのではなく個別の働き方を提示できる柔軟な組織こそが、人材確保ができる組織になっていくのではないかと思います。

最後に

休日日数の多寡ばかりお話ししてしまいましたが、本来の休日の目的は休日休暇を通して、リフレッシュを行い、心身ともに健康な状態で業務に勤しんでほしいという企業の考えがあります。

ドイツで行われた研究によると、「長期休暇の癒し効果」は長くて約1カ月しか持続しなかったそうです。しかも、ハードに働くと癒し効果がさらに早く消失してしまうそうです。長期休暇をまとめて取るよりも、週末が来るたびに何かリラックスできるようなことをすると、癒し効果が持続しやすいそうです。

特に、休んでも疲れがとりないという場合は、休み方が間違っているケースもあります。間違った休日の過ごし方をしてしまうと、自律神経が乱れ、不眠や疲労感、イライラや不安感など、心身にさまざまな不調をきたしてしまいます。

休日だけを増やしても、リフレッシュ効果がなければ生産性は下がってしまいます。社員にも仕事に意欲的に取り組めるような休日の過ごし方を頂くなど、労使ともの努力や歩み寄りが大切だと感じます。

リフレッシュに良い過ごし方とより疲れてしまう休日の過ごし方もご紹介しますので、ご参考にいただければと思います。

【リフレッシュに良い過ごし方】
・散歩や運動など体を動かす
・普段はできない遠出、旅行をしてみる
・ゆっくりと入浴するor温泉にいく
・自然を感じる(特に森林浴を行う)
・瞑想
・ヨガ
・心地の良いアロマを使用する
・映画鑑賞や読書
・ヘッドマッサージ
・疲労回復に良い食事をとる(鶏のムネ肉や豚肉、玄米、レバー、にんにく、レモンなど)

【より疲れてしまう過ごし方】
・夜更かしや日中の長時間の昼寝
・だらだらと無計画に過ごし、後悔してしまう
・休日も長時間仕事をしてしまう
・体力を使いすぎてしまう
・暴飲暴食をする
・飲酒
・カフェインの過度な摂取
・ストレス解消のための買い物
・スマホの使い過ぎ

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