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都心部で「DX」「副業」「在宅ワーク」が進む中、地方企業がチャンスを掴む方法とは。

弊社は、徳島での人材紹介を通して、正社員採用の支援をしていますが、2020~2021年、正社員採用はやや厳しい期間となったと感じています。中小企業の給与アップがなかなか難しい中、人材が給与アップや自分らしい働き方を求めるなど、企業が求める人材像と、人材が求める職場への条件の変化もあり、年々マッチングが難しくなっています。

しかし、厳しさだけを感じて悲観的になっても意味がないので、この状況を振り返り、また2022年以降に明るい徳島の未来を見ることができるように考察してみました。

DXを目指したIT人材採用の難しさ

特に、2020~2021年は、徳島の地方企業の多くもDXに注目し、IT人材の採用やDX推進を目標にしていたと感じます。

しかし、その中でも2つの大きな障壁があり、IT人材の採用やDX化は思ったように進まなかった企業が多いのではないでしょうか。

一つは、IT人材の採用が難しかったこと。IT人材の市場価値は年々高まり続け、給与は高騰しています。正社員の平均年収は409万円に対して、 ITエンジニアは130万円以上も年収が高い、542万円にもなっているようです。エンジニアの中心世代は20~30代になりますので、年功序列型の賃金体系ではそもそもスキルのあるITエンジニアが望むような給与の提示が難しかったのではないかと思います。

また、老舗企業になればなるほど、自社のカラーに合う方を求めます。就社という考えも根付いているため、転職回数が多い人や辞めてしまうリスクを感じる方、また社風に合わない人材の採用は行わない傾向があります。しかし、ITエンジニアの多くは転職回数が多く、また転職を繰り返す中でスキルを磨いていますし、就社という意識がない方も多いようです。ITスキルのある人材の採用を目指すためには、学歴・転職回数は不要、入社後の離職を問題としない、という意識が大切だと思います。

弊社の紹介で、多数のIT人材の採用いただくIT企業は、転職回数や学歴は一切不問とし、技術力と職務に必要な人柄かどうかのみを判断されています。その結果、良い技術者が集まり、技術力が益々高まることで成長を続けています。

もう一つは、採用したいと考えるIT人材に依頼したい内容が漠然とした広範囲なものになっていたこと。ITを活用したり、DXを推進することで会社を飛躍させたいという大目標が先に立ち、具体的に何をするのかということを決めることが難しく、またどのような経験を積む人材であればその目標に対しての実現が可能か、ということを落とし込むことが難しかったのではないかと思います。

特に、新規事業のような内容であれば、できるかどうかわからないことに対しての予算組も難しいのだと思いますが、よくあるパターンは1名の人材で何もかも実現できる企画力と手を動かせるスキルと幅広いスキルを求めていることが多く、市場にはいないような人材を求めてしまうことが多いように感じました。

都市部で益々進む、DXサービスの展開

一方で、都心の企業はDX推進が成功し、どんどん新しいITサービスを展開しています。

個人向けサービスでは、Uber Eats やメルカリ、オンライン授業、Netflixなどなど今や日常生活の中でも欠かせないサービスが増えてきています。

企業向けでも様々なDXが加速しています。人工知能を活用した自動会話プログラムのチャットボット、データの入力やファイルの複製といった単純作業を自動化してくれるツールRPAなど。AIの進化と共により便利なツールが開発されています。

徳島の企業の多くは、自社でもDXを目指されていたことかと思います。DX関連についての多くのセミナーを見かけましたし、求人のご依頼も頂戴しました。しかし、具体的な方法論や人材採用まで落とし込むのは難しかったのではないかと思います。

徳島の企業としては、「株式会社電脳交通」などはタクシーのDX推進によって、注目をされ総額5億円の資金調達を成功するなど、既存サービス+ITで挑戦を続ける企業です。DX化に多くの企業が憧れ、また挑戦したいと思う気持ちになることもうなずけます。

とはいえ、現時点でDX化を進めるためのアイディア、そして技術力(人材)がなく、開発が進んでいないのであれば、自社内でDXサービスを生み出す、ということは非常に難しいのではないかと思います。

働き方改革で生まれる、副業人材採用のチャンス

しかし、都心部での「副業」や「在宅ワーク」が進むことで、地方企業にも明るい未来やチャンスが見えてくると感じています。

都心企業での働き方改革の一つ「副業の推進」によって、副業人材が急速に増えてきています。残業時間の縮小によって、残業代の補填としての副業という考えもありますが、外部でスキルを磨く成長機会とする人材も多いようです。副業であれば、中間マージンが発生しないため、時給単価も高く、外部との直接の折衝などもスキル向上にもつながります。
また、副業からスタートし、フリーランスとした活躍する優秀な人材も増えてきています。加えて、子育て世帯の親が、フルタイムで働く難しさから自宅で行える在宅ワークに取り組みだしました。

その結果、優秀な副業人材を自社でも雇うことができるようになりました。弊社も代理店を務めるWebマーケティングの副業人材の紹介に特化した「カイコク」から、Webマーケティング人材を1名採用しました。徳島県内のその他企業様にも徐々に活用が広がっています。

在宅ワーカーや地方の人材を活用したBPO業務も広がる

また、BPOサービスも増えてきました。BPOサービスは聞きなれないサービスだと思いますが、簡単に説明すると代行・アウトソーシングサービスのことです。わかりやすいサービスでいうとコールセンターなどになりますが、最近は、人がやる仕事+Webサービスが付帯されることで、より安価かつ高サービスなアウトソーシングビジネスが生まれています。

たとえば、営業、経理、採用、秘書、事務、スキャニング業務などあらゆる事務職がBPOサービスとして展開されています。

BPO(代行)業務は、大きなボリュームでないと依頼できないデメリットがあったかと思いますが、近年においては少額からスタートできるサービスも随分増えてきました。

また、徳島においてもBPOサービスを行う企業も増えてきました。地方に拠点を持つBPO業務を行う会社が、地方人材の雇用の受け皿にもなっています。

地方企業が目指すべきこれから、人材採用のあり方

これからは、ますます進むDXサービスやBPOサービス、副業人材、そして社会起業家が興すであろうサービスに注視し、自社にとって有効なサービスを取り入れることが重要だと感じます。安価で使いやすい優良なサービスを活用することで、地方企業が飛躍的に成長する機会に恵まれることになると感じます。

伝統的な価値をもつ企業や生産拠点をもつメーカー、経営状況が安定している企業には特に大きなチャンスが生まれる可能性があると感じます。

コストを抑えるため様々な業務を内製化してきたかと思いますが、IT分野や広報・マーケティングなどより専門性が問われる仕事は外注をする。また事務業務においても効率化が目指せるシステムやBPOサービスを活用することの方が今ではコストを抑えることができるようになってきているかもしれません。あらゆるサービスが進化する今、本当に内製化が正しいのかどうかを検討すると良いのではないかと思います。

人手不足が進む中、地方企業が生き残るためには、本業を強化し、本業に集中する体制を作ることが重要だと感じます。

そのためには、社員採用においては、本業を担ってくれる方の採用し、本業で力を発揮できる環境を整えること。そして、外部の専門人材との橋渡しができるような自社内での業務理解が深く、浅く専門的分野を理解できる人材採用や育成が重要なのではないかと思います。

ムツビエージェントでは、徳島の企業や徳島に立地を進める企業を人材採用面でサポート致します。広い知見や新しい情報を収集し、皆さまに有益な情報をお届けするよう精進してまいります。

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