2022年度の新卒採用もいよいよ大詰めとなってきました。6月に内定だしおよび内定承諾の締め切り日にされている企業様も多いと思いますので、このタイミングで、2022年度新卒採用動向を振り返り、採用戦略立案にお役立ていただければと思います。
2022年新卒採用の採用難易度
2022年卒の採用予定数を増やすと回答した企業の割合は前年比で10%減となっています。
採用基準として「徹底して人材の質を重視する」という回答が7~8%増加しているため、採用基準が厳しくなっているため、実質的に採用予定人数は減少傾向となることが予測されます。
そのため、2021年度新卒採用よりも企業にとって学生を採用しやすい環境になっているのではないでしょうか。
実際に、徳島県内のクライアント様より
「例年よりも応募が増えた」
「良い人材からの応募があったと感じる」
「内定者を確保することができた」
などの声を多数聴くことができました。
2022年度の新卒採用市場をより細かく、フェーズに分けて分析していきましょう。
フェーズごとの学生行動量
■インターンシップ
学生の参加社数は、平均5社と昨年の4.9社と比較すると微増のやや高い水準となりました。
また、今年顕著だったこととしては、WEBインターンシップが増えたことです。リアルよりもWEBでのインターンシップへの参加数が増えています。WEBが増えたことで、他県企業への参加割合も増加傾向となりました。
インターンシップのWEB化は今後、新卒採用を実施する中でも非常に重要です。
ただし、対面でのインターンシップの方が満足度は高いという結果が出ていますので、コロナ収束以降は、対面とWEBの両面でインターンシップを行うことで、満足度の高いインターンシップと遠方学生にリーチできることになるではないでしょうか。
■エントリー以降の行動量
学生の全体の行動量は増えています。特に、説明会の参加数は昨年と比較すると2.57倍となりました。
◆ エントリー
平均22社(昨年度19.7社)
◆ 説明会への参加
平均21.6社(昨年度8.4社)
会社説明会への参加数は、突出して増えています。WEB化が進んで気軽に参加しやすくなったことが要因です。
◆ 一次面接への参加
平均4.5社(昨年度3.5社)
説明会参加は増加した一方、一次面接参加数は昨年と比較しても大幅に増えていません。
会社説明会から一次面接への誘導の難しさを感じる企業も多かったのではないでしょうか。
◆ 内々定率の進捗
5月15日時点の大学生の就職内定率は59.2%
内定率はコロナ禍以前の2020年卒並みの水準となっています。
企業の採用基準の変化
企業が採用基準として重視するポイントが、昨年と比較すると大幅に変化したポイントがあります。
【より重視するようになったポイント】
・学生の自社に対する熱意や意欲
・素直さや誠実さなどの人柄
・コミュニケーション能力などの対人スキル
【採用基準としてあまり重視しなくなったポイント】
・専門的なスキルや資格
・大学で専攻している内容が自社の職務に生かせる
・地頭の良さや学歴
デジタル化やDX化が進む中で、専門知識などがより重視されるようになっているのかと思いましたが、それよりも「意欲」や素直さや誠実さなどの人柄が重視されるようになっていることは意外な結果になったと感じます。
大きく時代が変化する中で、変化に対応できる人材は、意欲が高く、素直や誠実な人柄で、しっかりコミュニケーションが取れる方なのかもしれません。
コミュニケーションツールがWEB化される中、より分かりやすいコミュニケーションが取れること、遠隔で仕事を教えるケースが増える中、意欲高く、誠実に仕事をできる社員であることを求めるのかもしれません。
学生が企業選びで重視するポイントの変化
2016年度のアンケートと比較して、2022年度に大きく変化している項目をご紹介します。
「自分が成長できる環境がある」と答えた学生が増え、「企業経営が安定している」が半減しています。
・自分が成長できる環境がある 16.8%
2016年時点では、11.6%で+5.2%
・企業経営が安定している 6.2%
2016年時点では、12.6%で半減。
終身雇用制度が崩壊し、リストラが盛んにおこなわれる中、【企業経営が安定していること】=【自分の雇用が守られること】ではないと感じる学生も増えているのではないでしょうか。
自分自身がスキルや経験を重ね、成長をできる環境をより強く求めるようになっているのだと感じます。
会社経営がいくら安定していても、旧態依然の体制での仕事が行われ、若手社員の成長に意識が向いていない会社は、意欲ある学生にとっては魅力的に映らなくなっているのかもしれません。
まとめ
新卒採用においてWEBでのインターンシップや面接などは完全に定着したといえるでしょう。
WEB化に取り残された企業は、母集団形成に遅れをとっているので、WEBでのインターンシップ、会社説明会、選考は必須事項となりそうです。一方で、面接への動員率は低下していますので、母集団形成に成功している企業は選考への動員と内定の承諾を得ることが、採用活動を成功させるかどうかのポイントになるでしょう。
学生の傾向を見ていると、成長できる環境があることを打ち出すことが大切なようです。
会社全体として、新しい時代に対応できる戦略を持ち、時代の変化に対応する姿を学生に見せることが、採用力強化に最も有効な手段になると感じます。