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【2026年】徳島の最低賃金は、1,103円。33年ぶりに賃上げ率は4.5%へ。正社員の月給も見直しが必要に。

2026年最低賃金 アイキャッチ

2024年、徳島県の最低賃金は896円から980円へ、一気に84円引き上げられました。全国でも最大となる大幅な引き上げは「徳島ショック」とも呼ばれ、県内企業にも大きなインパクトを与えました。
その後も最低賃金は上昇を続け、2026年1月には1,046円へ。そして2026年度は、さらに57円引き上げられ、1,103円と決定しました。

ただ、今回の改定を見て、「またこんなに上がるのか」と以前ほど驚かなかった方も多いのではないでしょうか。それくらい、この数年で「賃金が上がること」が当たり前になってきました。

実際に上がっているのは最低賃金だけではありません。春闘では高い賃上げ率が3年連続で続き、徳島県内企業の調査でも正社員の賃金上昇が確認されています。
また、徳島経済研究所の調査では、2026年度の全産業の平均賃上げ額は1万3,800円、賃上げ率は4.5%。前年の3.1%を大きく上回り、4%を超えるのは33年ぶりとなりました。

一時的な「賃上げブーム」ではなく、毎年ある程度、賃金が上昇することを前提として企業経営を考える時代に入りつつあるのかもしれません。
そこで今回は、2026年度の最低賃金改定と実際の賃金・物価の動きを確認しながら、最低賃金1,103円が正社員の給与や、企業経営にどのような影響を及ぼすのかを考えてみたいと思います。

最低賃金も、実際の賃金も、高い上昇が続いている

2026年度の最低賃金は、全国的にも大幅な引き上げとなりました。

全国47都道府県すべてで54~65円引き上げられる答申となり、全国加重平均※は1,121円から1,177円へ、56円上昇します。この56円という引き上げ幅は、1978年度に現在の目安制度が始まって以降、過去2番目の大きさです。
※全国加重平均とは、各都道府県の最低賃金を、その地域で働く労働者数を反映して算出した全国平均となります。

徳島県は1,046円から1,103円へ57円の引き上げが決定し、全国順位は27位。四国では最も高い水準です。ただ、2024年のように徳島だけが突出して上げる局面ではなく、今年は全国的に高い引き上げが続いている状況です。

そして、最低賃金とともに実際の給与も上昇しています。
連合がまとめた春闘の最終集計では、賃上げ率は2024年5.10%、2025年5.25%、2026年5.01%。3年連続で5%前後という高い賃上げ率が続いています。2026年は、従業員300人未満の中小組合でも4.69%となりました。

2026年度、徳島県内で明確な賃上げが続く

徳島県内でも、賃上げは明確に進んでいます。徳島経済研究所の調査では、2026年度の全産業の平均賃上げ額は1万3,800円、賃上げ率は4.5%。前年の3.1%を大きく上回り、4%を超えるのは33年ぶりとなりました。

また、賃上げを実施した企業は82.2%で、前年の74.3%から7.9ポイント上昇しました。調査では、継続する物価高や人手不足への対応を背景に、賃金の改定額を引き上げる傾向がみられるとしています。全国だけでなく、徳島でも高い賃上げが幅広い企業に広がっています。

一方、2026年7月の消費者物価指数は、総合で前年同月比1.9%の上昇でした。足元では、賃金上昇率が物価上昇率を上回る局面も出てきています。
ただし、食料は前年同月比3.5%、生鮮食品は7.0%上昇しており、生活に身近な物価の上昇は依然として大きい状況です。

賃金上昇率が物価上昇率を上回る局面も出てきた一方、食料品など生活に身近な物価上昇は依然大きい。そのような状況の中で、高い賃上げを求める流れは、今後もしばらく続く可能性があります。

最低賃金は、もう「パート・アルバイトだけの話」ではない

最低賃金というと、パートやアルバイトの「時給」を確認するもの、というイメージを持つ方も多いと思います。
しかし、徳島県の最低賃金が1,103円まで上がると、正社員の月給についても確認が必要な水準になってきます。

正社員の月給18万円も要確認

最低賃金は、月給制の正社員にも適用されます。月給制の場合は、月給を1か月の平均所定労働時間で割り、「時給」に換算して確認します。
1日8時間勤務として、最低賃金1,103円を満たすために必要な月給の目安を出すと、次のようになります。

年間休日必要となる月給の目安
100日約194,864円以上
110日約187,510円以上
120日約180,157円以上

ポイントは、休日が少ない会社ほど年間の労働時間が長くなるため、最低賃金を満たすために必要な月給も高くなることです。年間休日120日でも、最低賃金の対象となる月給が18万円ちょうどなら、1,103円をわずかに下回ります。

「総支給額が19万円あるから大丈夫」とは限らない

もう一つ注意したいのが、最低賃金は「総支給額」で確認するわけではないことです。
基本給や職務手当などは算定に含まれますが、通勤手当、家族手当、精皆勤手当、残業代、賞与などは除外されます。

例えば、基本給17万円+職務手当1万円+通勤手当1万円+精皆勤手当5,000円なら、総支給額は19万5,000円です。しかし、最低賃金の判定対象になるのは18万円。年間休日120日・1日8時間勤務であれば、最低賃金1,103円を下回る計算になります。

まずは「総支給額」ではなく、最低賃金の対象となる給与額と、自社の所定労働時間を確認することが大切です。

徳島県内でも、初任給の見直しが必要になる企業がありそうです

ムツビエージェントでは、徳島県内企業153社・292求人を対象に、2026年度新卒採用の大学卒初任給を調査しました。

2026年度新卒入社者基本月給割合

基本月給の平均は20万191円、中央値は20万600円。一方で、基本月給16~18万円台の企業が22%、12~15万円台の企業が7%あり、基本月給18万円台以下の企業が29%を占めています。

もちろん、基本給以外に最低賃金の算定対象となる手当が支給されている場合もあり、年間休日や1日の所定労働時間も企業によって異なります。そのため、「29%の企業が最低賃金を下回る」という意味ではありません。
ただ、最低賃金が1,103円になることで、これまでの初任給のままでは最低賃金との距離がかなり近くなる企業や、実際に初任給の見直しが必要になる企業は一定数あると考えられます。

さらに初任給を引き上げると、入社2年目、3年目の社員との給与差も縮まります。最低賃金への対応は、パート・アルバイトの時給だけではなく、新卒初任給や若手社員、既存社員を含めた給与体系全体へ波及していきます。

過去コラム:2025年「初任給引き上げの“真の動き”を捉える―横並びが崩れた構造変化と徳島の初任給分析―」

賃上げを、企業努力だけで吸収し続けられるのか

働く人にとって、給与が上がることは歓迎すべきことです。人手不足が続く中、企業にとっても人材を採用し、定着してもらうための賃上げは必要になっています。
一方で、人件費が継続的に上昇することによる企業側の負担も、無視できなくなっています。

2026年8月、経済産業研究所(RIETI)の森川正之氏は、近年の最低賃金引き上げが企業に与えた影響を分析しました。
その結果、最低賃金の引き上げは企業の平均賃金を高める一方で、雇用を減少させる効果、企業の利益率を低下させる効果が確認され、生産性を高める効果は確認されなかったと報告されています。

労働政策研究・研修機構(JILPT)が紹介した2026年の中小企業調査では、最低賃金引き上げに伴う人件費増への対応として、最も多かった回答は「具体的な対応が取れず、収益を圧迫」35.0%となったようです。また、「地方・小規模企業」では、42.9%に達しているとのことです。

人材を確保するため、また従業員の生活を守るためにも、賃上げは求められています。
人件費が上昇すれば、その分だけ企業の負担は大きくなります。だからこそ、これからは上昇する人件費をどう事業の中で吸収していくのかを考える必要があります。

そのために、適正な価格転嫁を進めることに加え、業務を見直して生産性を高めること、採用人数や人員配置を見直すこと、限られた人員でも付加価値を生み出せる体制をつくることが、これまで以上に重要になります。

誰を採用し、どのように配置するのか

例えば、今後は次のような人材の重要性が、さらに高まっていくと考えられます。

・人件費や原価、利益を把握し、経営判断につなげられる経理・財務、管理会計の人材
・業務を整理し、ITやデジタルを活用して生産性を高められる人材
・自社の価値を顧客に伝え、適正な価格で取引を続けられる営業人材

これまで必要としてきた人材を採用するだけでなく、企業の収益力や生産性を高める専門人材を、戦略的に採用することが求められるようになると感じます。
実際に、私たちの徳島の顧客企業でも、社内IT人材を積極的に採用するケースや、経理事務にとどまらず、経営者とともに財務・会計を考えることのできる専門性の高い経理人材を強化するケースが増えてきています。

そして、もう一つ重要なのが、現場の仕事を見直し、限られた人材をどこに配置するのかを考えることです。
賃金が上がり続ける時代には、一人ひとりの人材が、これまで以上に大切な経営資源になります。だからこそ、どの仕事に人を配置し、どこを効率化し、どのような人材に投資するのかという人材戦略の重要性も高まっていきます。

ムツビエージェントでは、求人のご依頼をいただく際に、募集背景や仕事内容を整理しながら、どのような人がいれば組織がうまく回るのかを一緒に考えることがあります。
業務内容や人員配置を整理していくと、「本当に採用すべきポジションはどこなのか」「どのような専門性を持つ人材が必要なのか」が、当初の想定とは変わってくることもあります。
その結果、採用ポジションや求める人材像を見直し、より組織が円滑に回るようなご提案を差し上げることもあります。

高い賃上げが続く中で、企業に求められているのは、賃上げを実現しながら経営を持続させるための戦略です。

これまでは、「正社員だから一通り何でもやってもらう」「これまで採用してきた同じような人がいい」といった、役割や適性よりも従来の採用イメージを優先するケースも少なくありませんでした。
これからは、どの仕事を誰に担ってもらうのか、今の組織に足りない役割は何かを先に整理し、必要な役割に合わせて人材を採用するという考え方が、より重要になってくると感じます。

賃金が上がり続けることを前提に、上昇する人件費の原資をどう生み出していくのか。採用も、そのための経営戦略の一つとして考えていく必要があるのではないでしょうか。

参考資料

徳島労働局「「徳島県最低賃金」を時間額1,103円に改正決定」
※徳島県の最低賃金は1,103円に改定され、2026年11月1日から適用されます。

厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」

連合「2026春季生活闘争 最終集計」

公益財団法人徳島経済研究所「2026年度賃上げ・初任給動向」(2026年9月11日)

総務省統計局「2026年7月分 消費者物価指数」

厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」

RIETI「最低賃金引き上げの影響:数値目標設定以降の分析」

JILPT「最低賃金の引き上げで、45%の中小企業が最賃を下回る従業員の賃金を引き上げ」

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