忙しい日々が続く中、社員が相次いで離職してしまい更なる人で不足になる。これ以上離職は防ぎたいと思っても、多忙さが理由で離職が続いてしまうという、という悪循環に陥ってしまうことがしばしば職場環境では起きてしまいます。
一方で、とても忙しそうな職場なのに、働く社員がストレスを感じた様子もなく、仕事にやりがいを感じながらバリバリ働いているという会社もあると思います。
この違いはどこから来るのか。疑問に思うことはありませんか?
実は、忙しいことでモチベーションが下がる環境がある一方で、忙しい中でもモチベーションを維持できる環境があることがわかってきました。
それを説明できるが「要求度コントロールモデル」です。簡単に説明すると職場のストレスを2つの軸で考えます。
1つの軸は「要求度」、すなわち「どれくらいの仕事のプレッシャーを会社から与えられているか」です。
もう1つの軸は「コントロール」、つまり「自分でその状況をどれくらいコントロールする自由を持っているか」です。
忙しくても、ストレスを感じにくい仕事の特徴は?
たとえ仕事の要求が高く多忙を極めても、自由裁量をもっていればストレスが高くなりにくいことが分かっています。自己決定ができることがモチベーションの維持につながっていると考えられます。
忙しく、目標が厳しくても、自分のやり方で納得のいく仕事ができる。これが忙しくてもストレスをため込まない仕組みのようです。
最近だと、自分の好きな場所で働いたり、好きな時間を選んで働いたりできる会社も増えています。これも一つの自由裁量であり、ストレス低減につながっているはずです。
要求度が高いが裁量権がある仕事としては、経営者やコンサルタント、弁護士、公認会計士、税理士、医師、建築士、会社員でいうとマネージャーのポジションなどがあげられます。専門性や高いスキルや判断力、責任が求められストレスが高い業務をこなしますが、意思決定権がある仕事です。
難易度が高く誰もができる仕事ではないため、給与も高水準であるケースがほとんどです。
最もストレスフルな環境
反対にストレスが非常に高く感じる仕事は、仕事への要求が高いうえに、裁量が狭く管理が細かく、厳しい環境です。このように最もストレスフルな仕事を「高ストレインジョブ」と呼ばれます。
あれこれ細かく命じられて働かされる、そのうえで成果も厳しく求められると従業員が感じているなら、高ストレインな仕事になってしまっています。
・達成困難なKPI目標設定がトップダウンで行われ、目標を達成していない場合は厳しく叱責される、できるまで時間外でもやらされるため長時間労働が常態化している。
・責任の重いマネジメントのポジションだけれども働き方や目標についての決定権はない、いわゆる名ばかり管理職となっている。
自社が上記のパターンに陥っているようであれば、社員のストレスは非常に高いものになっているかもしれません。
最もストレスの低い仕事は?
仕事の要求度が低く楽ちんな仕事で、しかも裁量が広く自由に働くことができる職場が、最もストレスの低い職場になります。簡単な作業ベースの仕事で、管理者が細かく管理せず自由に仕事をしていても怒られない、締め切り期日も特に意識しなくてもよい、仕事のミスがあっても怒られないなどの環境でしょうか。確かにストレスはかからなそうですが、生鮮性が低い職場になってしまうでしょう。
あなたの職場のストレス度は?
それでは、自社の職場のストレス度を簡単なチェックで判断してみましょう。
【裁量がない】
□仕事量の決定に際して自分の意向が反映できない
□必要に応じて自分で仕事のペースを変えられない
□必要に応じて自分で仕事の手順や方法を変えられない
チェックが多いと、裁量の範囲が狭いという判断をしてください。
【要求度が高い】
□予定外の仕事がしばしば飛び込んでくる
□仕事の締め切り・納期にゆとりがない
□残業や休日出勤をしないと仕事が終らない
チェックが多いと要求度が高いという判断をしてください。
高ストレインジョブの環境から脱するために
いかがでしたか。
自社は高ストレインジョブに陥っていなかったでしょうか。
もし、「裁量がない」と「要求度が高い」の両方が2以上当てはまる場合は、高ストレインな職場環境に陥っているかもしれません。
社員全体のストレスが高い職場は、全体的な要求と管理が厳しいケースにあります。要求(目標)が高すぎないか、管理が細かすぎないか、など緩められるポイントがないかを探ることも大切だと思います。
また、管理職のストレスが高いようであれば、働く時間や場所の自由や目標の決定権を持たせるなど、裁量の範囲を広げてみることで、ストレスが軽減され、やりがいをもって働く管理職となっていただけるのではないでしょうか。
最近では管理職になりたくない新入社員が増えています。管理職がイキイキと働くことで、
上を目指したいと思う社員が増え、長く働いてもらうことができる職場づくりを目指すことができるのではないかと思います。