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全員がスタープレーヤーでも、強くなる組織と弱くなる組織の違いとは。

組織を考える際、「262の法則」はよく話題に出るテーマです。
企業への貢献度が高い人が全体の2割、普通の人が6割、低い人が2割の比率に分かれるといわれます。

下位2割がいなくなっても、残された8割のうち2割の貢献度が下がり始め、逆によく働いていた上位2割がいなくなっても、残された8割のうちの2割が積極的に働くようになるといわれています。

つまり、集団の構成員が変わったとしても、「262の法則」の構造は生まれ続けるという法則です。社員みんなに活躍してほしいと考え、研修や評価、人事制度を作る人事の立場としてはなんとも切ない話だと思います。

アリやハチの集団の観察から実証されたこの「262の法則」。
実は、すべてのプレイヤーがハイパフォーマーでも、強くなるスポーツ競技があるようです。

組織の特性によっては、社員みんながハイパフォーマーでも組織として強くなるのであれば、良い人材の採用のしがいがありますよね。一方で平均的なプレイヤーがいることで、組織の調和がとれ、チームの力が最大化する競技もあります。

自社の特性を考え、ハイパフォーマーの在籍比率を考えるご参考に頂ければ思います。

全員がハイパフォーマーでもチームが強くなる競技と弱くなる競技の違い

サッカーの各国代表チームを対象として調査研究が行われました。
スター選手の存在は、ある割合まではチームの強さと正比例したそうです。つまりスター選手が多いほど勝ちやすくなります。しかし、ある割合を超えると反比例しだします。それは選手全員をスター選手で固めたチームは、弱くなることを意味します。適正な比率でチームを作らなければなりません。

具体的にはスター選手の比率が60%~70%というのが最も高い成果につながったそうです。スター選手の存在は、半分より少し多いくらいが良いようです。

反対の結果となったスポーツもあります。それは野球です。
野球はスター選手が増えれば増えるほど強くなり、選手全員がスター選手になっても弱くなることはありませんでした。一人一人が打者となるので個の力の影響が強く、ピッチングや守備もサッカーに比べて独立していて、依存関係が少ないためだと考えられます。

会社組織に置き換えると、どのようなことが言えるでしょうか。

チームの力が発揮しやすい業種

製造業や小売り・サービス業などは、営業・販売だけでなく様々な職種がチームワークを発揮し仕事をする業種です。そのため、ハイパフォーマーと平均的な社員が混在することで、チームの力が最大化しやすくなる

特に、これらの業種は多様な職種や役割が求められますので、人材の適材適所を探り配置し、ハイパフォーマー以外の方々も輝き、結果組織としての総力が高まります。

チームの最大化を考えたときに、組織内でハイパフォーマーとされる社員が6割となることを組織の目標に置くと良いかもしれません。

まさに日本人の得意とするチームプレーが発揮しやすい業種は、多様な人材が輝きやすい職場だと思います。

一方で、チームプレーに偏りすぎて、ハイパフォーマーが力を発揮しにくくなるケース。
逆にすべての社員にハイパフォーマーを求めるケースなどもあるかと思います。

全てを一律に考えず、多様な働き方や人事評価の在り方を導入することで、組織全体の総力を高めることを目指したいところです。

ハイパフォーマーの比率が高くとも、組織力が向上する職種

逆に、野球のようにチームプレーながら、バッターのようにみんなに打順が回ってくるような職種であれば、皆がハイパフォーマーでも組織力は向上します。

たとえば、一般消費者向けの営業や銀行や証券などの営業。コンサルタントや研究職、プログラマー、クリエイター、建築士、医師、弁護士などは、個人の力量が高い人材が集まれば集まるほど、組織としての力が発揮できるようになるでしょう。

しかし、士業や専門職、売る力の高い営業、最近ではITエンジニアなどを採用するには好条件の提示が必要になるため、財務力や採用広報力の高い企業に分があるといえるでしょう。

徳島での中途人材の採用を考える

中途の人材を採用する際は、ハイパフォーマーを採用したいという企業の希望も多い一方、ハイパフォーマーであることに加えて、チームワークや協調性を求められることが多いと感じます。

ハイパフォーマーの比率が全体的に低いとお感じになる企業は、人材の協調性が低くとも、結果を出すハイパフォーマーの採用は組織全体のチーム力向上に貢献しますので、いったん、協調性<能力という図式で採用すると良いかもしれません。

組織全体のパフォーマンスの最大化を考える際に、ご参考になれば幸いです。