Column 経営者・人事向けコラム

どんな社員が多い?「勝ちたいのか」「負けたくないのか」2つの性格タイプに分ける制御適合理論

自社の社員はどのような社員が多いですか?

「もっと積極的に仕事に挑戦してもらいたいが、あまり挑戦を好まない」
「コツコツと丁寧に仕事をすることが得意」

徳島の企業に社員のタイプを聞くと、上記のような回答をいただくことが多いと感じます。
徳島県内の人材が挑戦を必要とする仕事を嫌がる傾向が強いため、営業的な仕事や新規事業などチャレンジングな業務には、「東京や大阪など都心企業で勤務していた方を採用したい」とUターン人材を求める傾向があります。

しかし、Uターン人材については、大変活躍することもありますが、時に社内での定着が難しいこともあります。

自社の社員がどのようなタイプが多く、また、どのような社員が活躍しやすいのかを知ることで、採用すべき人材像が明確になるかと思います。

そのヒントになる、制御適合理論という性格分析に使われる理論がございますので、ご紹介したいと思います。

2つの性格タイプに分ける制御適合理論

人を大きく2つの性格タイプに分けるシンプルな理論です。それでは、詳しく解説していきます。

目標達成のモチベーションになる、「促進焦点」と「防御焦点」
モチベーションに関して、制御焦点といわれるアプローチがあります。制御焦点は、2つの性格タイプに分かれます。

1つは、勝ちたい、成功したいという想いが強いタイプ。
そして、もう1つが負けるのが嫌、損したくないという想いが強いタイプに分かれます。

社員の多くは、どちらのタイプでしょうか?

「勝ちたい」「成功したい」「利益を増やしたい」という想いが強い場合は、「促進焦点」を重視するタイプです。

「負けるのが嫌」「失敗したくない」「少しでも損失を避けたい」という想いが強い場合は、「防御焦点」を重視するタイプです。

自分の制御焦点と働き方が合致していると、モチベーションが高まると考えられます。正しい方に進んでいるという適合感と、目的に近づいているという手ごたえを感じるといいます。

その適合感や手ごたえが、エンゲージメント、つまりやる気を高めます。そして良い結果、パフォーマンスの向上につながると考えられています。

では具体的に、タイプごとに得意な仕事を見てみましょう。

促進焦点が強い人に適した仕事

勝ちたいという想いが強い「促進焦点タイプ」は、下記のような仕事、働き方に適性があるといわれています。

・スピード重視
・創造的な仕事
・増やす、生み出すといった生産的な仕事
・全体像を把握して進める
・リスクに寛容な職場

促進焦点の強い人は、「獲得を最大化したい」という欲求を強く持っています。そのための多少のリスクは負ってでも獲得のために行動します。

慎重に、失敗しないように、確実に進めることは好みません。失敗してもいいので、獲得のために次々にチャレンジする仕事の進め方が適合します。これを「熱望方略」といいます。

失敗してもチャレンジを評価してくれる風土のある企業、ベンチャー企業や老舗企業でも新規事業などに向いていると思います。また提案の幅の広い営業職、無形物の営業なども適性がありそうです。

促進焦点が強い人のマネジメント方法

成功に対するインセンティブを設定すると力を発揮しやすいでしょう。いわゆるご褒美です。ダメなのは、失敗したら損失が出る、または罰金を科すといった減点方式です。逆効果になります。

また、取り返しのつかない大きな失敗は命取りになりますので、小さなリスク・損失で済むか、状況判断をしたうえで失敗を恐れずに成功に向けてどんどんチャレンジさせると良いでしょう。

リカバリーできる範囲の小さなミスはカバーし、大きな成果が出しやすい環境づくりをすると良いでしょう。

防止焦点が強い人に適した仕事

負けるのが嫌、という想いが強い「防止焦点タイプ」に合致している仕事、働き方はこちらです。

・正確性を重視
・細部にこだわる仕事
・分析的に考える仕事
・我慢強く取り組む仕事
・安心安全な職場環境

促進焦点タイプは、損失をできるだけ減らしたい、できれば一切損したくないと考えます。リスクがあるならやらないという判断になることもあります。

リスクを背負って一か八かの大逆転は決して狙いません。安心安全が確保された状況で、少しずつでもいいので慎重に、確実にコツコツと利益を増やしていきたいと考えます。「警戒方略」といわれます。

防止焦点タイプは、この警戒方略で取り組むと適合感を得られて、成果につながると考えられます。

適性のある仕事は、事務系職種で特に専門性の高い経理や法務などが向いていると思います。そのほか、エンジニアへの適性もあるかもしれません。保証のない場所で働くことには不安を感じると思いますので、育成制度がきっちりしている企業や、マニュアルがある職場に適合的です。大企業に多いかもしれません。

防止焦点が強い人に適したマネジメント

減点方式が向いています。失敗したら損失が生じる目標設定をしてみてください。その緊張感の中で集中力を発揮します。しかし、正確さを重視するあまりスピードがさがります。そこを踏まえてバランスをとってください。

徳島の人材に多いのはどちらのタイプ?

徳島の人材の多くは、「防止焦点タイプ」が多いように感じます。都会に出る人材は、リスクを負っても大きな挑戦をしたいと思い、都会で挑戦をしています。

一方、地方にいる人材は、大きな利を獲得したいという思考ではなく、自分が安心できる地元で生活したい、働きたいという想いが強いのではないでしょうか。

「防止焦点タイプ」が強い人材には、新規事業に挑戦させたり、成果に応じてインセンティブが大きくなるような働き方は、ストレスになるかもしれません。年功序列的な働き方や給与体系は適しているかもしれません。

一方、都心からUターンする人材に新規事業や新規開拓営業などを期待し採用した場合、成果給が低く、コツコツと地道に行う仕事を任せると、モチベーションが下がってしまうかもしれません。

人材タイプや職種やポジションに合わせた制度・報酬体系などがあると、多様な人材が活躍する組織になるかもしれません。

自社の組織には、どのような人材が適しているのか、どのような人材が活躍するのか、採用すべき人材像が分からず、採用活動に迷いがあるという企業経営者様、人事担当者様の方にご参考にしていただければと思います。

参考
外山美樹『制御適合とパフォーマンスに関する研究の動向と今後の展望』