経営者も納得!採用力を向上させる残業時間とその手当

コロナ禍ではありますが、まだまだ売り手市場が続き、必要な人材の採用に苦戦している企業も多いようです。

時間外労働(残業時間)や時間外労働手当(残業手当)の支払い方法について見直すことで、採用力を向上させることができる企業も多いように感じます。そこで、今回のコラムでは求職者目線で、不満が溜まりにくい残業時間や残業の支払いについて、時間外労働についての基礎知識と共にご紹介したいと思います。

残業時間を削減すれば社員は喜ぶのか?

特に、働き方改革によって残業時間が多いことにネガティブなイメージを持つ求職者も増えてきているように感じると思いますし、残業時間を減らすことを目標とされる企業も多いと感じます。

しかし、多すぎる残業は避けたいと思っている求職者や社員も、残業時間が少なくなりすぎて、給与の総支給額が低くなるようであれば、残業があった方が良いと考える人材もいるようです。

実際、弊社が取り扱う求人でも、残業や休日出勤があっても、全ての支払いをきっちりされていることで、給与全体額が多いため、応募が殺到する人気の求人になっているものもあります。

常識の範囲内の残業時間があり、その手当が100%支払われているようであれば、社員の満足度は低くはなりにくいと感じます。

常識の範囲内の残業時間とは?

そもそも、法定労働時間(1日8時間以内、週40時間以内)を超えて労働させる、または休日労働をさせる場合、労働基準法第36条に基づき労使協定(いわゆる36協定)を締結し、所轄の労働基準監督署に届出なければなりません。

この手続きを踏むことで、月45時間まで、年間360時間までの範囲で残業(時間外労働)が可能になります。

私自身の実体験や様々な人材とお話をする中で、不満がたまりにくい残業時間はまさに月45時間、年間360時間くらいになるのではないかなと思います。
現在、働き方改革法によって残業時間の上限が規制されています。臨時的な特別の事情があって合意する場合でも、以下を超えることはできません。

年720時間以内

複数月平均80時間以内

1日の残業時間は4時間程度

月100時間未満

1日の残業時間は5時間程度

働き方改革よって作られた時間外労働の上限規制を遵守することで、不満がたまりにくい残業時間となっているのではないかと思います。逆にいうと、1日の残業時間が4~5時間が常時続く会社は、残業時間が多すぎることが離職の理由になっているかもしれません。

不満が高まる時間外労働の取り扱い

結論を端的にお伝えすると、時間外労働手当が支払われていないと不満は高まります。

当たり前のことを言っているように感じると思いますが、特に、手当などで残業代を支払っている場合、結果的に時間外労働手当が未払いになってしまっているケースがあるので注意が必要です。

よくあるのが、営業などは時間外労働を営業手当として支給している場合です。「営業手当を支給しているため、残業代を支払わなくて良い」とお考えになっているようですが、その営業手当は何時間の残業時間に準ずるのかを明示する必要があります。そして、その残業時間を超えた場合は、超過分の残業手当を支払うことが労働基準法で義務付けられています。

営業手当を固定残業代という名目で支給している場合は、下記に沿って支給されているかをご確認下さい。

営業手当の金額が基本給とは明確に区別し、何時間分の残業にあたるかを明記していること

固定残業代として設定された時間分を超えて働いた場合には、超過した労働時間に関しては、別途残業代の支給すること

いかがですか?

営業手当が何時間になっていない場合は、早急にその手当が残業時間の何時間分に相当するのかを明確にいただくと良いと思います。その時間内で仕事が終わっているのであれば、社員の満足度は高まりますし、逆に、少ない手当で何十時間も働いているようであれば、不満が高まり、離職にもつながる可能性があります。

残業代が未払い場合の企業リスク

ご存じの方も多いと思いますが、従業員に未払いの残業代の請求をされた場合、企業側が残業代を支払うことでの決着となるケースが多いようです。

これも繰り返しになりますが、営業手当として、固定残業代を毎月支払っていたとしても、その時間を超えるものについては、別途残業代の支給ができていない場合は、こちらも請求の対象になります。

未払い残業代の時効について、2020年3月31日までに発生したものについては「2年」ですが、労働基準法の改正により2020年4月以降に発生した未払い残業代については経過措置として「当面3年」に延長されることになりました。さらに将来的には未払い残業代の時効は「5年」に延長される予定となっています。

もし、従業員から残業代未払いを請求された場合、大変なリスクになることが理解いただけるかと思います。

より具体的な数字で考えてみましょう。

毎月20時間分の固定残業代を37,500円分、支給していたとします。
しかし、毎月50時間の残業が発生していたにも関わらず、20時間を超える残業の30時間の残業代を支給していなかった場合を例として挙げてみます。

年間では未払い残業代が675,000円となり、従業員が20名に残業代未払いが同様に発生していた場合は、3年間分として4,050万円の支払いの可能性があります。

また、退職後に請求された場合は、遅延損害金といって簡単にいうと利息までついてしましまいます。

そう考えると残業代が未払いの状況になっていることが、いかに大きなリスクになっているかご理解いただけるかと思います。

【計算式】
30h(超過分の残業)×1,500円(時給)×割増率1.25=56,250円(超過分の月の残業代)
56,250円(月の未払い残業代)×12ヵ月=675,000円(年間の未払い残業代)
675,000円(年間の未払い残業代)×3年間×20名=4,050万円
※1時間当たりの賃金時給を1,500円で計算

固定残業代(みなし残業代)制度を活用し、働き方改革を推進する

一方で、固定残業代制度をうまく活用することで、働き方改革も推進し、従業員も満足できる、経営者にとっても良い経営ができる形にもなるのではないかと思います。

例えば、月30時間の固定残業手当を支払うと決め、月30時間を超える残業は実際にさせない運用をしてみるのはいかがでしょうか。月30時間以内の残業時間は、従業員が納得感を持って働くことができますし、満足度の高い給与にもなります。企業としても、人件費負担もさほど大きくなりません。

それでは、その運用の効果を考えてみましょう。

1.社員に残業を減らしたいというモチベーションが生まれる
毎月の残業代が固定され、早く退社しても残業代がもらえるならば、従業員は業務効率化を図り生産性向上を目指したいと思うようになります。仮に「残業を減らそう!」と号令をかけても、残業時間が減り、給与の総支給額が減るのであれば、残業を減らしたいという気持にはなりません。
特に、生産性を大幅に向上し、残業が削減できたにも関わらず、残業代分が給与から差し引かれるとしたら、従業員は残業を減らす努力をする気持ちを失ってしまいます。生活給を保証するという意味でも、固定残業代は優れた制度だと感じます。

注意点としては、月30時間は必ず行う必要がある残業時間ではないということを企業・人材の双方に持つことです。

2.集中力を高めて、働く環境づくりができる
月に30時間までと決めることで、ダラダラと残業をすることを防ぎ、生活給を稼ぐために残業をする社員を撲滅することができます。企業によっては月30時間の残業では到底業務が追いつかないと思われるかもしれません。

しかし、本当にそうでしょうか?
私自身は集中して1日8時間の仕事を行うと、へとへとになります。仮に、1日15時間の勤務の拘束時間があったとして、その中で集中できて仕事を行えている時間は半分にも満たないのではないでしょうか。
仮に、残業手当を全て払っているとするならば、ダラダラと行う残業への支給をすることが、会社にとっては大きなマイナスになるのではないかと思います。

3.適切な労務管理をする仕組みづくりができる
残業時間を月30時間に収めるためには、社員一人ひとりの適切な労務管理が必要です。残業手当を支払わない企業の傾向としては、勤務時間の管理や労務管理が出来ていないケースがあるように感じます。

労務管理をしていないと、仮に残業代の未払い請求などをされた場合、従業員の言い分通りの支払いを余儀なくされてしまうこともあります。リスク管理の意味でも労働時間の管理は大切です。

4.無駄な業務を断捨離できる、生産性を上げることができる
時間が無制限にあると思うと、無駄な仕事もやろうとしたり、仕事の優先順位があいまいになり、結局仕事が終わらない、仕事が前に進まなかったという経験は誰しもがあるのではないでしょうか。

特に、従業員の労働時間が無制限にあると思うと、経営者は「あれもやってみよう」「これもやってみよう」とあれこれと仕事をどんどん増やしてしまうこともあると思います。時間を浪費するような業務を見直すことで、不要な仕事の断捨離が実現し、本当に注力すべき仕事に社員も力を注ぐことができるようになります。断捨離が進むと、生産性があがる仕組みも生み出すことにも注力できるようになります。

5.採用力が向上し、離職率を低減させることができる
適切な労働時間で働き、満足ができる給与を得ることができると、離職率は下がっていきます。また、過度な残業がなく、満足のいく給与を得ることができる職場環境で働きたい新卒学生や転職者からの応募を増やすことができるでしょう。

月給20万円、固定残業時間30時間、賞与年3ヵ月の場合の計算式をご用意しましたので、ご参照いただければと思います。
20代後半の正社員採用を徳島でご検討の場合の目安になるかと思います。

項目 月間 年間 数式
基本給 200,000円 2,400,000円 基本給×12カ月
固定残業手当
30時間
46,875円 562,500円 基本給÷160時間×1.25割増し×残業時間×12カ月
賞与(夏) 1.5カ月 300,000円 基本給×支給基準
賞与(冬) 1.5カ月 300,000円 基本給×支給基準
年収 3,562,500円 基本給(年)+手当(年)+時間外手当(年)+賞与(年)
コラム提供元

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