大手企業から徳島本社の海外拠点への転身

海外進出を目指す徳島の企業との出会い 縁のなかった徳島、そして50代での転身を成功させた「行動・考え方」を聞く。
日本を代表する大手メーカーの第一線で活躍していた黒坂さん。
『自身の新たなゴール』を追い求め、転職活動をスタートさせる。
そこで、出会ったのが創業120年以上の歴史がある地元で名門と言われる徳島県本社の富田製薬。国内市場に留まらず、海外市場への進出を加速するために、2011年にニュージャージーオフィスを設立し、グローバル展開を通して「鳴門から世界へ」の実現を目指していることを知る。

2015年1月に徳島県鳴門市が本社の富田製薬株式会社へ入社。本社勤務を経験した後、2015年11月末よりアメリカ・ニュージャージーのオフィスに勤務。富田製薬で見つけた黒坂さんの新たなゴールとは。

富田製薬株式会社 海外事業部  次長 黒坂 和彦さん

富田製薬株式会社
米国ニュージャージーオフィス 代表
黒坂 和彦さん

50代となり自身の新たな夢へ進む決断。安定した職場から新天地へ
転職を考え始めたきっかけを教えて下さい。

前の会社では1986年に入社して以来、営業職を中心として従事してきました。その中で、海外拠点責任者として香港に駐在した約7年間に、現地での販売戦略の立案・実行、スタッフの採用・人事管理、本社との調整業務など様々な業務を経験し、海外での最重要拠点として体制を確立しました。最終的には、売上高規模は約3倍近くまで成長させることができ、自分としても、最も仕事のやりがいのあった時期でもありました。

香港駐在時

1998年に撮影した、香港駐在時の写真。
娘は23歳、19歳になりました。
私は、この頃と比較して10キロほど痩せました。
私と家族にとって、香港は第2の故郷です。

帰任後は、営業部門を経て、管理部門の仕事に従事し、事業企画、契約審査、内部統制推進などを担当しました。この期間中、仕事にやりがいは感じていたものの、あまり海外に絡むことはなく、「もう一度海外、できることなら子供の時に過ごしたことのあるアメリカでチャレンジしたい」と思うようになりました。

また、会社の制度としても50歳以上の退職であれば、優遇された退職金制度があり、そういったことも転職の後押しになりました。そのまま会社に残る選択もありましたが、自分の夢を叶え、また自分の力を求める企業があれば、今まで培った経験を活かし、世の中の役に立ちたいとも考えていました。

数ある企業の中から富田製薬に興味をもった理由を教えて下さい。

最初はたまたまの出会いです。ムツビエージェントを通じてニュージャージーの拠点長候補の募集案件があることを知ったのがきっかけです。
失礼ながら転職活動を始めた時には富田製薬という社名も知りませんでしたし、徳島県に関する知識もありませんでしたが、色々と調べるうちに、120年以上歴史があって地元では名の知れた企業だということも知りました。
そして、富田製薬の海外進出は今後の事業成長の中でも最も重要なミッションの一つであり、新たな市場を開拓できる夢のある仕事だと感じました。

富田製薬株式会社 : http://www.tomitaph.co.jp

富田製薬
家族は転職を応援してくれましたか?

実は反省している部分もあります。転職を考えていること自体は前もって家内に相談していましたが、実際に活動している時には話をしなかったのです。やはり反対されると思っていましたので、家内に具体的なことを話したのは内定をいただいてからでした。それでもいきなり口で言うのは怖いので、家に帰る前にメールでざっくりと伝えて、帰ってから詳しく話しました(笑)。
結果的には家族みんなに納得してもらいましたが、ただ徳島県に本社のある会社であることと、近いうちにアメリカに赴任するという条件をどうクリアするかはじっくり相談し、鳴門の本社勤務の7ヶ月間は、単身赴任という形に落ち着きました。

それでも、東京にいる家族とはLINEなどでコミュニケーションを可能な範囲で取るようにしました。5月の連休には家族全員に徳島に来てもらいましたし、その時に連れて行った眉山や鳴門のリゾートホテルなどにも満足してもらえたようです。そういう機会は一緒に生活している時にはなかなかありませんでしたから、結果的には良かったのかなとも思います。

徳島での新しい生活、そして海外赴任へ向けた準備活動
今はどのようなお仕事をしていますか?

入社後すぐには鳴門の本社で約7ヵ月間勤務しました。
いわば海外赴任の準備期間ですので、特定の仕事があったわけではないのですが、上司の横に席を構えて、会議に同席したり、関係部署との調整をしたり。海外から査察に来られる取引先との面談の場などにも参加しました。海外への赴任後は日本の社員との直接的なコミュニケーションを取る機会が減ってしまいます。ましてや私は中途入社ですから、社内の方と信頼関係を築くために、できる限り交流を保つようにしていました。また、そのような行動を会社は積極的にサポートしてくれました。

徳島での生活はいかがですか?

よく言われることかもしれませんが、食べ物が安くて美味しいですね。
県民性でいうと、特徴的なのは地元愛の強さでしょうか。富田製薬の社内にも地元のサッカークラブ「徳島ヴォルティス」の応援チームがありましたし、なんとか徳島を盛り上げたいという方ばかりで、東京にあまり執着を持っていない私には新鮮に感じましたし、とても良いことだと思います。そういった想いが企業への愛社精神にもつながっていると思います。気候が暖かいせいか、前向きというか、楽天的な方が多いようで、狭い日本の中でも地域によって気質もずいぶん違うなと感じました。

入社して改めて感じた富田製薬の魅力は?

一番感じたのは、450人という規模の大きさに対して、経営層と従業員の距離が近いなという点です。
社内結婚が多いのも特徴で、社内結婚の報告で社長の所に来る場面も、7ヵ月の間に4〜5組ほど見かけました。それだけ若い世代が多く、会社も居心地が良く、人間関係も良好ということだと思います。また、富田製薬は“研究開発に力を入れる”という姿勢が明確です。ニッチなものであって、他社にないものを作って市場に供給し、国内・海外含めてお客様に奉仕していく、そこに強みを見いだせる会社だと思います。

ニュージャージーではどんな仕事を?

ニュージャージーオフィスは所長を含めて日本人が2名、現地採用の方が1名の小さなオフィスで、設立から5年が経ちます。この5年の間に前任者が営業の種まきをしてくださっていますので、それをこれから私が育てて刈り取り、業務を拡大していくのが一番のミッションです。
将来的にはニュージャージーオフィスを現地法人化したいというのが富田製薬の方針ですから、それが可能になるだけの規模に育て上げ、「鳴門から世界へ」という経営指針に沿う形で貢献できたらと考えています。

懸念しているのは、離れて電話やメールだけでやりとりをしていると、細かなニュアンスが伝わらず誤解を生むケースが出てくることです。そういった問題を解決するのはフェイス・トゥ・フェイスで話すことが一番ですよね。日本にいる者同士なら簡単にできることですが、アメリカと日本では思いどおりにいかないこともあり、苦労する部分もあると思います。テレビ会議など、顔を見てコミュニケーションを取るようにする工夫は必要でしょう。

ニュージャージーオフィス

オフィス近辺の写真です。奥の茶色の建物がオフィスで、手前の建物が、住居のアパートです。徒歩、3分位の距離で、隣接しています。

オフィス近辺の街の様子です

オフィス近辺の街の様子です。

冷静に自分を見つめることで可能になる企業とのマッチング
転職する上で自分の武器だと思っていたものは?

転職の際に履歴書など色々と書類を作成する過程で、いわば“自分の過去のキャリアの棚卸し”をしました。時間をかけて自分の強みと弱みをピックアップして、自分は何がやりたいかも含めて本当に自分に合った企業に応募しよう思ったからです。

具体的な強みだと感じたのは、過去に経験した管理部門の仕事で、事業企画、契約審査、社内コンプライアンスなど、会社のコアにあたる業務に関わったことや、英語での交渉も行ってきた語学力です。転職先ありきで考えるのではなく、自分の培ってきた経験に合わせた転職先探しをすることも大事だと思います。
私は海外と関わる仕事、できれば現地で勤務できる仕事をしたいという希望が、はっきりしていましたので、それと自分のこれまでの経験を合わせることで、無理なく自分をアピールできたと思います。転職先を徹底的に調べて現状や問題点を理解し、そこに入って自分が短期的にも中・長期的にもどんな形で貢献できるのかを打ち出して伝えることも必要だと思います。

セントパトリック教会

マンハッタンにあるセントパトリック教会です。
子供の時、学校が近かったので、ときどき一休みしていました。懐かしい場所です。

同じ年代の方で転職活動している人はいますか?

私の周りにも転職した人が結構いまして、その中にはうまくいく人もいれば、思うようにいかない人もいます。転職したからには前の会社のやり方などに縛られず、新しく行った所にどれだけ馴染もうとするかが大事ではないでしょうか。前の仕事のやり方をそのまま次の職場に持ち込もうとする人も多いですが、それでは、うまくいかないようです。うまくいかないのを転職先のせいにする人もいますが、それでは何も前進しません。20代や30代なら、そのような考え方も許されるかもしれません。50代になって自分の意思で転職するのなら、すべて自己責任と考えておくべきです。我々の年代は次世代を育てるのが、重要な役割です。自分たちがやってきたことを後進に残す、それが大きなミッションのひとつではないでしょうか。

仕事をする上で大切にしていることはありますか?
黒坂 和彦さん

相手の立場に立って考えてみること、自分のアタマで考えること、客観的に判断すること、先を見据えた行動を心がけることです。相手の立場で考えないと、お客様の要望や部下の気持ちは分かりません。先を見据えた行動で早めに準備すれば、業務上の効率化も図れますし、周囲に迷惑をかけません。

目標は口に出すだけなら簡単ですが、きちんと行動が伴うよう常に自分の行動を振り返る時間を設けるようにしています。若い方々にも、ぜひ自分を振り返る時間を定期的に持つことをお勧めしたいです。

これから夢を叶える転職をする方へ
「No Goals,No Glory」これは私が15年ぐらい愛読しているマネージメント関連の書籍の著者である、ジェフリー・J・フォックスさん(アメリカのコンサルティング会社社長)の言葉です。
サッカーやホッケーの試合にゴールが必要なように、人生にも目標となるゴールを設定しないと繁栄や成功もない、という意味です。もちろんゴールはその時々で変わっていくものですから、3年や5年のタームで見直して新しく設定して、それを実現するために若いうちから計画を立ててほしいと思います。
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