こんにちは、ムツビエージェントの中西(謙)です。
もうすぐ海の日です。海に行く予定はありませんが、「海の日」と聞くだけで童心に戻りなんとなく楽しい気分になりますね。
海の日は、海の恩恵に感謝するとともに海洋国家日本の繁栄を願うことを趣旨としているそうで、世界中で日本にしかない珍しい祝日だそうです。
新しい祝日として「山の日」が2016年から施行されることになっているようです。

労働政策でも同じ2016年から「ホワイトカラーエグゼンプション」という新しい働き方の導入の検討が進められていますが、どのような制度でしょうか。話の転換が下手ですいません・・。

現在でも裁量労働制やみなし労働といった働き方がありますが、それとどのように違うのかも一緒に調べてみました。転職活動をしていて「裁量労働制により残業代支給なし」「8時間のみなし労働」などと書かれていると、良く分らないものの不安に感じてしまうことも多いと思いますので、出来るだけ分かりやすく整理したいと思います。

(1)みなし労働と裁量労働制の違い
調べてみたところ、一般的には同じ意味のようです。
裁量労働制とは、一定の職種や働き方については、例えば8時間より多い、または未満の仕事時間でも8時間働いたことと「みなす」制度です。その時間をみなし労働時間と言います。この「みなし労働時間」の考えに基づく裁量労働制のことを「みなし労働」と言ったりするようです。

※もう一歩前へ
法律上「みなす」というのは、真実と異なる事実を擬制することを意味します。良く混同しがちな概念として「推定」という言葉があります。
違いを具体例で説明しますと、8時間と「推定」される場合だと、実際は10時間働いたという異なる事実が証明されると、10時間の労働が認められます。しかし、8時間と「みなす」場合は、たとえ異なる事実が立証されても、8時間として扱われます。
これを擬制と言います。つまり、「みなす」は真実と異なったとしても確定的に事実として扱う強い効力を持っています。

(2)裁量労働制になるとどうなるのか
良く言われている通り、残業代が支払われなくなります。
1日10時間働こうとも、12時間働こうとも8時間と擬制されますので、残業は無かったことになるからです。
ただし、6時間の労働でも8時間働いたこととしてくれるというメリットもあります。
理論的上は、しっかり成果を出せば労働時間を主体的に決めることができる公平な制度、と言えます。
ただし絶対に時間内に終わらないような業務量を与えるような運用であれは、単に企業が残業代支払い義務を免れるだけの制度となりますので、適性な運用をしている企業かを判断する必要があります。

(3)裁量労働制を導入できる職種
裁量労働制は、全ての職種に適用可能なわけではありません。
労働時間を擬制することが適正と思われる以下のような職種において、企業の判断のもと、法定の手続きを経たうえで導入が可能です。

a.事業場外労働
事業場外で業務に従事し、労働時間の算定が困難なケース
Ex.外回りの営業、在宅勤務

b.専門業務
クリエイティブな業務や、専門的で自主性に任せた方が成果を発揮することが期待できるケース
Ex.SE、編集者、デザイナー、プロデューサー、弁護士、公認会計士など11種類

c.企画業務
ホワイトカラーの生産性向上の観点から、事業運営に関する企画・立案・調査・分析業務などの従業員の裁量にゆだねるケース
Ex.シンクタンクやコンサルタント業務

(4)視点
希望する企業が裁量労働制を採用している場合、主体的に働くことで労働の生産性を上げていくことができる環境なのかをご自身の目で判断する必要があると思います。
実際に裁量労働制を取り入れた企業の社員へのアンケートでは、約7割~8割が満足、またはやや満足と答えています。(独立行政法人 労働政策研究・研修所 平成26年6月30日 参照)
労働時間が短縮できたと答えたのは40%台ですが、自主的に働けることで生産性が上がったと答えた方も多く、満足度が高いのはそのことの裏付けといえると思います。

残業代の有無だけにとらわれず、裁量労働制がなぜその企業で取り入れられたか、制度を機能させるための環境や意識がその企業にあるか、その働き方が自分に向いているか、という実質をより深く検討することが大切だと思います。

(5)ホワイトカラーエグゼンプション
最近話題のこの制度について考察してみます。早ければ再来年2016年から導入されることになります。
エグゼンプションというのは、「免除する」という意味だそうです。
つまり、ホワイトカラー(デスクワークに従事する労働者)について残業代をエグゼンプション(免除)する制度ということのようです。

残業代がエグゼンプションされると大変ですが、ホワイトカラー全員が対象とされる訳ではないようです。現在は、年収1000万円以上の給与所得者を対象とすることで検討が進んでいるようです。
個人的には、それだけ給料をもらっているなら残業代くらいけち臭いことを言うな!と言ってやりたいですが、それは庶民の僻みというやつでしょうから自粛します。

(6)ホワイトカラーエグゼンプションの徳島への影響

徳島県在住で経営者や資産家を除き、純粋な給与所得者(サラリーマン、ウーマン)で1000万円以上の給与をもらっている人はそう多くないと思います。とすれば、この制度の徳島への波及効果は少ないように思います。

(7)ホワイトカラーエグゼンプションの考察
この制度の現実的な問題は、残業代の支給がなくなることを理由に昇進を嫌がるような風潮がでるのではと思います。特に最近、責任のあるポストへの昇進を嫌がる人が増えてきていると報道されていますので、その動きに拍車をかけるかもしれません。また、社内で上司が部下より年収が低いという、逆転が起きると考えます。

上記のような不公平な逆転を防ぐための、企業努力が求められることになります。
予測される1つ目の方法は、残業代なしでも不公平が起きないような高額な役職手当や昇給を設定する。とすれば、年収の水準は同程度が維持できます。効率的に仕事ができれば、残業しなくてもそれを含んだ給与を得られますので、ライフワークバランスを図るという目的を達成できます。

もう一つの方法は、部下に残業代を生じさせないように、つまり残業をさせないような効率的な働き方をマネージメントしていくことになます。企業は、管理職のマネージメントスキルを高めることを目指すでしょう。これは企業の生産性アップにつながりますし、従業員は勤務時間を減らせますので、やはりライフワークバランスに資すると言えそうです。

(7)まとめ
私はホワイトカラーエグゼンプションの推進者ではありませんが、理論的には理にかなっていると思います。
労組の主な主張である過労死の助長は、残業代の有無と直接関係ないように思います。過労死させないために残業代で勤務時間に歯止めをかけるべきだ!という主張は理解できるものの、平面的過ぎて個人的にはあまり説得力を感じません。例えば、残業代の支給がある企業では過労死が起きないのかというとそうではありませんでした。反対に、残業代支払いがなく、そのため企業が従業員を酷使し過労死したケースはあると思いますが、そのような企業では残業代規定を定めても、申請させないなどの措置をとって、同じ結果を招くように思います。原因は残業代支給規定の有無とは別にあります。であるならば、ストレートに勤務時間に上限を決めるなど、残業代の有無とは別の過労死対策を取るのが筋のように感じています。

話を戻すと、制度というのは設計よりも運用が大切だと考えています。本制度もそうだと思います。企業と従業員がずるがしこくならずに、制度趣旨を理解して一緒に努力しないとライフワークバランスを図るという目的は達成できません。
これから議論を深め、運用においても企業と社員の相互理解のもと実践し、働く全ての人に良い影響を与える制度となることを願っています。